21話 海賊船06 「何があった!!」 船長が叫ぶと、船員達が大慌てで駆けつけてきた。 そして呼吸を整え、精一杯の大声で報告する。 「ジャトー海族団ですっ! 右翼に砲撃をくらいました!!」 「何だと!? ここは港付近だぞ!? 何考えてやがるっあの馬鹿共め!」 船長は怒りに怒って甲板へ上っていった。 その間、何が起こったかわからず、立ちすくむコウ。 不意にユーリックに声を掛けられる。 「どうやら他の海賊が襲ってきたみたいだな」 「なっ……こんな町の近くでか!?」 思わず驚きの声をあげる。 ユーリックは冷静に答えた。 「港近くと言っても、もう1キロは離れてるからな。ここは既に海賊の領域だ」 「そんな…………え?」 「? どうした?」 今……確かにこの男は言った。 「この船もう出航してるのか!?」 「ああ……何をそんなに驚く」 ユーリックはコウの驚き様に驚いた。 出航時間が早まったのだ。知らずの内に船は海の上。海賊にはよくあることだ。 だけど……それは非常にまずい! カルロやフレアンさんに何も言わずに来た。このままだと離れ離れになる! コウは部屋から飛び出し、階段を上る。 ユーリックもその後を追った。 ←前へ|次へ→ [戻る] |