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仲間03

 サラは私がそう言う事も予想していたらしい。驚きもせず、呆れもせず、説明を始める。

「私達見習いが受ける試験よ。見習いから軍人になるために絶対必要な試験なの。
これに合格しないといつまでたっても見習いのまま。わかった?」

 一息でよくここまでしゃべれるなぁ……じゃなくて!

 軍人? いきなり? 早くない!?

「サラ、もう軍人になるの?」

「馬鹿! 何のためにここに居るのよ、当然でしょ!?」

「だってまだ一月くらいしか経ってないのに」

「関係ないわ。ここにはね、何年も見習いやってる人が沢山居るの! 軍人になれない人だっているんだから。ぐずぐずしてたらあっという間よ」

 何年も見習い……それはキツイ。

 そもそも本試験って何やるんだろう。

 コウはサラから渡された紙に目をやる。そこには試験の詳細が書かれてあるはずだが、よく理解できない。すると、サラが助言してくれた。

「本試験は一次試験と二次試験で、どちらも実践よ。一次試験は基礎能力を見て、二次試験は実力を見るの。一次はバトルルームを使うけど、二次になると本物の獣を相手にしなくちゃならないのよ」

「へぇぇ」

 コウは紙に書かれてある事と、サラの言う事を照らし合わせながら理解していく。ここで、ひとつ違和感があったが、今は気にすることはなかった。

「一次はいいとして、二次はチーム戦なの。うまく統率がとれればいいけど」

「チーム? 個人の試験なのに」

「そりゃあ、軍人は常に連帯行動なんだから、協調性は大事でしょう」

「なるほど」

「同じチームの人間でも落ちる人は落ちるし、受かる人は受かるわ」

 やっぱり個人なんだ。つまり相手に勝てるかどうかは関係ないって事だろう。
 その人間がどれほど『使えるか』が大事。軍人とはそういうものだ。

 コウは紙に目をやったまま、黙り込む。自分は軍人として何が出来るのか。アムリアの能力も上手く扱えていないのに……。
 考えることが多すぎて、とても試験を受ける気分ではなかった。

「試験は一週間後、ちゃんと準備しておきなさいよ」

「いっ! 一週間!? 急すぎる!」

「私に言わないでよ。新入りは勝手にエントリーされちゃうの。もうチームメンバーも発表されてるわ。見に行ったら?」

 それを聞いて、コウはすぐさま走り出した。
 滅多に行かない掲示板へと急ぐ。



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