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聖域と罠15


「あ……」

 クリスは死ぬかと思った矢先の、予想さえしてなかった結末に、声が出ない。そんなクリスに柔らかな笑みを返すコウ。少し残念そうな顔をして。

「クリス、これはあまりに酷い扱いだ」

 コウはそう一言呟くと、武士の刀を振り払った。その衝撃で、刀は半分に折れてしまった。折れた破片は、森の奥へと飛んで行き、消えた。

「もう少し信用してくれてもいいんじゃないか?」

「カイル……」

 クリスは言葉を失くす。コウの切なげな顔を見て、自分のとった行動を悔いた。

「よくも私の刀をっ……!」

 武士がそう言い終わる前に、コウは武士の足を瞬時に斬りつけた。まさに目にも留まらぬ速さで――

 ザシュッッ…!

 ぐぅっ! と唸って倒れこんだ武士を素通りし、コウは軽目の男の方へ向かう。予想外の展開に、彼は少し動転しているようだ。コウが剣を突き刺すと、何も出来ないままただ立ち尽くす。

「何で、お前、弱いのに……」

「勝手に俺の強さを計るな、至って普通だ」

「冗談じゃない! こんな……こんな速さありえるかよっ!」

 軽めの男は何故か震えている。相手の力量を見誤った、彼自身への拒絶が感じ取れた。コウはルクードの方に向き直る。すると、彼の横に居た2人の護衛が、ルクードの前に出る。

「ルクード様、アレは我らにお任せください」

「あなた様は精霊の封印を」



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あきゅろす。
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