聖域と罠14 「おらぁ!」 「くっ……」 クリスは二人の男の攻撃を同時に受けた。そしてその眼を鋭くさせ、相手を睨む。男達は直ぐにクリスから離れ、今度は一方のみがクリスに斬りかかる。クリスはそれを鮮やかに受け流した。 そしてもう一方がクリスの背後に忍び寄るが、クリスはそれも見抜いていた。故に体を次の攻撃に向けてひねらせる。 男二人を同時に相手にしているクリスは、本当に凄かった。だが―― やはり戦う内に隙が見えてくるもので、その隙を逃すはずも無い二人の男は、お互いが合図をかけながらチャンスを待った。 そして、クリスの一瞬の隙が、彼らの待ちに待った絶好の機会となった。 「死ねぇッ!!」 敵の刀が向かってくる。しかしそれを払えば後ろの剣をくらうことになる。逃げ場が無い。 誰もが「終わった」と思った瞬間、その結果は裏切られる。それは、クリスの心臓を貫くハズだった武士の刀が、寸前で止まっているから。 そして、その刀の動きを綺麗に止めているのが―― 怪しく光る、セーレン・ハイル。 ←前へ|次へ→ [戻る] |