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古の精霊15


 どうしてこんな事をするのだろう。彼らは力を得るだけの為に風の精霊に会いに行く気だ。

 争いが嫌で自らを封印した精霊達にまた戦わせるというのか。

「本当に、彼らに自由はないの……?」

 そう、無意識に呟いていた。

 彼らの道は彼らが決める事。それを無理に封印を解くなど許されることではない。

「……」

 セーレンハイルを強く握ると力強く脈打った。鞘から剣を抜いた瞬間、眩い光が一斉に放たれ、目前に居た獣を撥ね付けた。

「グァア!?」

 地面に叩きつけられた獣は目をやられたせいでなかなか起き上がれない。
 必死にもがく獣を私は冷たく見下ろした。

 このままでは殺されると思ったのか、獣は一気に身を翻し私の前に立ちはだかる。

 恐怖に怯えた瞳からは潤んだ涙腺が見て取れたが、大して同情心もなかった。

 慣れ、とは非常に恐ろしいものだ。

 争いは嫌いと言っておきながら、自分は獣を斬る。この矛盾にいつも悩まされてきた。
 だが答えが出るより先に現実が襲い掛かってくる。

 獣は最後の一振りと言わんばかりの攻撃を仕掛けてきた。それを冷静に受け止め、左に受け流す。
 倒れこむ獣の目に映るのは、容赦なく次の攻撃を続ける鬼の姿だった。

 躊躇い無く、一気に獣を切り捨てた。
 獣は悲痛な叫びを上げながら仰け反り、暫くのた打ち回った後、最期の一振りによって消滅した。

 終焉の呻き声と苦痛に歪んだ顔を目に焼き付けるように、ただ黙って立ち尽くす。

 また、殺した。

 そう指さされている様で心は少しも落ち着かない。セーレンハイルを片手に、頭上に広がる空を見上げた。

 夕日に染まった空の美しさに目を反らしたくて、静かに目を閉じた。



第2話「古の精霊」[完]

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あきゅろす。
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