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古の精霊07


===ティレニア付近の丘===


『遅かったですね、マスター』

 遠くから何かが飛んでくる。
 その見慣れた動物に話しかけられ、私は少し困った様子で応えた。

「遠足にちょっとした事件は付きものよ」

『そんな驚きの展開なんていりませんよ。しかも遠足ですか』

「いいじゃない、ただ精霊に会いに行くってだけじゃつまんないわ。遠足気分でついでに精霊と仲良くなるっていう寸法よ」

『はぁ……まぁいいですけど』

 コウとカルロは揃って歩き出す。
 鼻歌まじりのコウの様子に、カルロも心を同じくする。
 今回は町に用は無いので、町に入る前に南へ進路を変え、リストの森の南部を目指した。

 私達は今、風を操る古の精霊フェザールーンに会いに行く為リストの森に向かっている。
 カルロが言うには、森の最奥を目指すなら森の南から入るほうがいいらしい。
 前に町で出会った少年ルイと行ったのは、森の北部だった。あそこは普段、町の人間が食料などを取りに行く為、ある程度開拓されている。

 しかしリラの花を取りに行った時は、偶然誤って人里まで下りて来てしまった黒い獣に遭遇し、一戦交えた。
 それに比べ南部の方は密林が広がり、巨体が通れるような所はない。もし遭遇したとしても、こちらは自由に動き回れる分、逃げるのは容易いだろう。

 コウは白髪の少年カイルの姿で森へ行く事にした。
 それは、この間の様にもし怪しい人間に会っても威嚇出来るように、女だからと舐められることのないようにするためだった。
 一人で森に入るのは相当危険だ。カルロがいるからといっても、やはり危険なのには変わりない。
 故に一刻も早くフェザールーンに会い、庇護を得なければなかった。



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あきゅろす。
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