古の精霊05
===ティレニア 正門===
軍事機関として世界一を誇るティレニアは、最も古い歴史をもつ。
世界が精霊と契約を介して共存し始めたとき、先立って行動を起こしたのもティレニアの人間であった。
軍事機関外である周辺の町の人でさえ、精霊を信じ、積極的にエレメント(精霊)遣いを雇っていた。
軍事機関は数年前に、帝国フィルメントとの友好条約締結の印として新しく建て直された。
その事もあり、軍事機関の教官は帝国の人間が多かったが、その内の何人かは身分や出身を偽って潜伏していたのも事実だった。
ティレニア敷地内の中心には円柱状の建物があり、本館と第1、第3号館が中央ホールを囲んでいるような構造になっている。
だが中央ホールから奥へは、一般人の立ち入りは難く禁じられていた。
また西には第2号館があり、そこは神官専用の建物となっている。
内側には花園が広がり、春になると彩り豊かな美しい庭となった。
また、東にあるのはコウの自室がある第4号館で、この内側に中庭が広がっている。
前にコウがカルロと初めて出会った場所だ。
そして、中央ホールから外へと一直線に引かれた道を進むと、両隣に広大な野外練習場が広がっている。
そこを通り過ぎると、ようやく正門に辿り着くのだ。
正門はいつも大勢の人で賑わっていた。
ティレニアは国ではなく自由都市だが、誰でも入れる訳ではない。正門には軍人のエリートが何十人もいて、検問官として入館者を念入りに審査している。
故に普段は特に問題も起きないが、時折暴れたりする人間がいるのも事実だ。
そういう人間は町の浮浪者であることが多い。
ティレニア機関内の生活水準は比較的高く、軍人を目指すと偽って機関を利用しようとする者もいるのだ。
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