第2話:06
あれは夢だったのだろうか。今までで一番ありえないことだった。私の意識はぼんやりしている。少し肌寒い……。
「ここは? もしかして……」
そう……これは夢だ。深い、深い場所にいる感じだ。
急に手が熱く感じた。
「?」
見てみると、両手に何か黒いモノがついている。
「?なんだろう…」
触ってみた。どろりとした。黒いソレは、青くも見えた。ツン…と鼻にくる。その時、あのおぞましい光景が目に浮かんだ。
「!?」
遠くか近くかわからないほど強い耳鳴りが私を襲う…! 鳴り響く音は…断末魔の悲鳴たちだった。
「っ…! いやぁっっ……!」
思わずその場にうずくまる。すると今度は背中に何かが落ちてきた。
黒い…黒い雨だった。雨は私にまとわりつく。
そうよ……
そうして私を隠してしまってほしい…こんな私は…私じゃない。今の私は…あの狂った獣たちとなにも変わらない。
この雨は、剣の降らせる雨。
「あなたのせいなのにね」
皮肉な言葉も、この闇の中で虚しく響いた。
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