第2話:04 「いやああぁぁぁぁ!」 どうすることも出来なくて、剣を握り締めた手が熱く感じた。あんなのいきなり相手に出来るはずがない。こんなことで。 「死にたくないわよ!」 むちゃくちゃに叫びながら剣を振り上げる。もう目には涙が溢れていて、前なんか見えやしない。ちょうどよかった。あんなもの見続けていたら失神するかもしれない。 最初に私にたどり着くのは、きっと初めに目が合ったあのトラの様な獣だろう。一回でやらなければ……確実にあの世行きだ。 「ふ、ふ……なめんじゃないわよ」 声まで震えている。 「ねえ、あんた、セーレン・ハイル! あんたは私の剣なんでしょ……? だったら……私の言うことくらい聞いてよね」 セーレン・ハイルが応えたような気がした。 「……いい子じゃない。私は剣の使い方なんか知らないわ、だからあなたが私を好きに動かしなさい」 セーレン・ハイルは少し躊躇したようだが、やはり私のお願いに応えてくれた。 「……! 来るわよ!」 私の計算違いで、襲ってきたのは複数の獣たち。グッと剣に力を込めた。 「!?」 突然、剣で握った部分から煙のようなものが次々と発生しはじめた。その煙は次第に白い風に姿を変えて、私の体を覆った。 ひやり、と冷たい感じがした。目前の獣たち。 あと2m… 1m… 風をまとった剣が、やけに軽く感じた。 「こ……のおおぉぉっ!」 私は思いきり剣を振りかざした…! ←前へ|次へ→ [戻る] |