長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その33
「俊兄はさ…」
初代夜行會の頭だった俊介さんは、硫ちゃんにとって頼りになる兄であり、手の届かない目標であり、何よりも、大切な家族だった事を僕に語ってくれた。
そして、硫ちゃんは新しい煙草に火を点けると、俊介さんを死に追いやった事故について語り始めた。
「あの日、まだ中二だった俺は原チャリで集会に参加してたんだ……。
…で、パトカーに狙いを付けられて追われていた俺を逃がす為に……。
俊兄はケツ持ちを買って出てくれた……」
「お兄さんは…その時…」
「うん…だから俊兄を殺したのは…俺なんだ…」
涙を溢れさせながら、鳴咽を上げ始めた硫ちゃんを、言葉で慰める術が見付からなかった僕は、硫ちゃんの傍に行き両手で優しく抱き締めた。
「…そんなに自分を責めちゃ駄目だよ…」
――――。
「勇ちゃん…ありがと…」
暫くして泣き止んだ硫ちゃんは、感謝の言葉を口にすると僕の腰に手を回し、優しく僕をフローリングの床に押し倒した。
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