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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その29

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「……と、まぁ。こんな所だ…。
後はさっきお前に話した通りだ……」


高宮の話を聞き終えた勇輝の瞳は、涙で潤んでいて指で少し瞼を押せば、その雫が勇輝の頬を滴るのが、明らな程だった。

『州慈さんが…僕の為に……』

沈黙する勇輝に、高宮は苦笑しつつ語り掛けた。

「州慈は完全に意識が飛んだ、無様な有り様になっても、ファイティングポーズを崩さなかったぜ…。
後で一言、礼を言っておけよ…?」


「……はいっ!!」

目尻から小さな涙の雫を滴らせ、勇輝が満面の笑みで返事をすると、高宮は顔を赤くしてソッポを向いてしまった。

「……?」

不思議そうな表情を浮かべる勇輝。

高宮は煙草に火を点けると、ソファーから立ち上がり、勇輝に背を向けたまま口を開いた。

「と、所で…お前、腹は減ってねぇのか…?」


「あ…そういえば…減ってるかも…」


丸一日、食事を抜いたのだから、減ってない方がおかしい。

「何か食えるもん作ってやる…座って待ってろ…」

高宮はそう告げると、勇輝の返事も待たずに、銜え煙草のままキッチンへと入って行った。


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