長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その28〜事の顛末〜 話は前日の正午に遡る…………。 ―――――――――――――――――。 「チッ……琴音の奴、俺の着信を無視するたぁ…やっぱ、アイツ等…マジで相沢 勇輝をヤルつもりだな…」 既に、藻抜けの空となっていた学生寮を出た高宮は、当ても無く学院内をさまよっていた。 そんな高宮の聴覚が、複数の人間が発する蛮声を捉えた。 「……オラぁ!!」 「…行けー!!」 「…もう参ったしちまえよ!!……能美ぃ!!」 最後に聞こえた声に、高宮の表情が変わった。 「…州慈だと…?…何でアイツが……こっちか!!」 ―――――――。 声のする方へ駆け出した高宮の視界に、たった一人で大勢の男達と殴り合う、能美の姿が映り込んだ。 『これがいつも計算高く、クールな州慈なのか!? ……面白ぇ……』 そう思った高宮は、能美に群がる男達の群れを目掛け駆け出した。 ―――バキャッッッ!!!! 「ぐっ……!!!」 いきなり背後から男達の一人に、飛び蹴りを浴びせた高宮は、そのまま無言で周囲の男達を、右に左に無差別に殴りつけた。 ゴンッッ!!ゴンッッッ!! ゴキィッッッ!! クモの子を散らす様に、高宮の周囲から男達が離脱する。 その様子を見て取った高宮は、静まり返る周囲に告げた。 「…おい、琴音は居るか?」 高宮の言葉に、運動部員らしき男が、おずおずと答えた。 「こ、琴音さんなら、べ、別行動ですが……」 「……チッ!!」 呆然と自分を見つめる周囲を尻目に、高宮は能美に近付いた。 「おい州慈…俺が判るか…?」 ―――シュッ!! 不用意に近付いて来た高宮に、拳を繰り出す能美。 ――パシッッ。 高宮はその拳を手の平で受けると、能美の顔を両手で挟んで声を掛けた。 「州慈…分かるか? 俺だ…高宮だ…。 言ってみろ…一体何があった…!?」 「勇輝君…待って…て下さい…勇輝君…勇輝…」 意識が混濁していた能美は、同じ台詞を繰り返した。 「……チッ。 だから、その勇輝はドコに居るんだ!? 助けてやるから、州慈!! 俺に教えろ!!」 高宮が顔を近付け、そう怒鳴ると、能美はうわ言の様に、 「…体育館…勇輝…待ってて……」 と呟き、高宮の胸に倒れ込んだ。 それを聞き届けた高宮は、周囲の男達に 「おい…コイツを医務室に運んでおけ…」 と命令し、体育館を目指して駆け出した。 ――――――――――――――――――――。 [*前へ][次へ#] [戻る] |