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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その11

「え?離して欲しいの?」


「…はい」


『大人しく着いて来ているのに、いつまでも手を繋がれてる理由が無いし』


そう思った勇輝の訴えだったのだが、十朱は暫く考え込んでいた。


「じゃあ離してあげる代わりに、僕の事は【薫】って呼んで?」


笑顔で見下ろして来る十朱に、勇輝はため息を吐いて言った。


「分かりましたよ……薫先輩…」


【先輩】を付けられ、少し不機嫌そうに眉を寄せた十朱は、勇輝の手を繋いだまま言った。


「勇輝、それじゃ不合格だよ。
罰として、さっき怒ってた理由を三秒以内に述べよ。
ちなみに三秒過ぎたら、セカンドキスを貰うからね?…3…2…」


今度は勇輝の眉間に皺が寄った。


「…分かりましたよ…言えば良いんでしょ…。
……薫先輩が守衛の人を馬鹿にした様な事を言ったから……ですよ」


―――――――――――――――――――。


「え?……そんな事?」

予想外の答えに十朱は、呆然と勇輝を見つめた。


――――ポーン♪


二人が会話している間に、エレベーターは目的のフロアに着いた為、ドアが自動的に開いた。

が、十朱は動かない。

必然的に、手を繋がれている勇輝もエレベーターから出る事が出来ずにいた。
これは何か言わないと、手を離してくれそうに無い、と判断した勇輝が語り出す。

「だって…僕は、生まれや身分の違いで偉そうにする人は…嫌い…ですから」


勇輝の台詞に、目を見開いた十朱の手が勇輝の手から、スルりと抜け落ちた。

これ幸いと、エレベーターから出ようとした勇輝だったが、突然後ろから十朱に抱きすくめられた。


「勇輝…僕の事………嫌い?」


十朱の台詞に今度は勇輝が驚愕した。


『な!?…さっきから一体なんなんだ!?
別に僕から嫌われる位、別にどうって事無いだろうに……』


そう思って、後ろから自分の肩に顔を埋める、十朱を見た勇輝は驚いた。


『な…泣きそうな顔してるし………。
もう…そんな顔されたら、僕が意地悪してるみたいじゃない…』


勇輝と目が合った十朱が再度、勇輝に問い掛けた。


「ねぇ…勇輝は僕の事、嫌いになったの?」


「調子が狂う」と言う言葉が、今の勇輝の心境を語るのにピッタリな言葉だろう。

十朱の言葉に渋々と答える勇輝。


「じゃあ、もうあんな事言わないで下さいよ?」

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