長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その9
僕は、死んだ母さんの想いに応えたくて、父さんの部屋に向かった…………。
部屋のドアの向こうからは、優子さんの泣いている声が聞こえた…。
そして穏やかな父さんの声…………。
「お前の前で、文江の名前を出した事は悪いと思っている…………。
…すまなかった…
しかし、勇輝には文江の想いを、知っておいて貰いたかったんだ…」
「誠一郎さんは、まだ文江の事を想っているのね……アタシよりも…」
『優子さんも、静かに傷付いていたんだ……』
結局、僕はドアを開ける事無く、二階の自室へと戻った。
そして時が過ぎ、一馬はアメリカへと旅立った。
一馬が居なくなると、今迄の鬱憤を晴らすかの様に、僕に対するイジメはエスカレートしていった…。
結局、学校でも家でも、戦う事が出来ず、家を飛び出した………。
また逃げ出したんだ。
「来年から高校に上がるんだよ……?
後一年経てば逢えるね…一馬……」
まるで、想い出に蓋をするかの様に、シャワーの蛇口を閉め、僕は風呂場を出た。
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