長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その8 だけど、そんな一馬の行動が気に入らなかったのか、僕が中学に上がると、優子さんは父さんに、一馬を留学させたいと言い出した。 元々、仕事でアメリカに行く事が多かった父さんは、事も無さ気に言った…。 「…じゃあ中学に上がったら、一馬はアメリカの学校に、行かせる事にしよう」 それを聞いた僕達はと言うと… 「嫌だぁー!! 一馬と離れたくないぃー!!」 「俺も勇にぃと離れたくないぃー!!」 珍しく二人揃ってゴネた。 でも、それが良くなかった……。 ――――ガンっっ!! 父さんは、テーブルを拳で力強く叩き、静かにこう言った。 「勇輝…死んだ母さんが今のお前を見たら、どう思うか分かるか?」 「……」 「……」 「文江は生前こう言っていたぞ………。 今から生まれて来る、私達の子には、どんな困難にも勇気を持って、立ち向かう事の出来る人に、なって欲しい………。 その結果、例え敗者になろうとも、その立ち向かう姿は、どんな人よりも美しく輝いているに、違いないから…と…」 「……」 「……」 「生まれて来る子が、男でも女でも、この名前が良い…………。 お前を産んでくれた人は、そう言っていた……。 お前はそれにどう応えるつもりだ? ……よく考えてみろ…」 父さんはそう言い残すと、煙草に火を点け、二階の自室に続く、白い階段を上がって行った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |