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〜龍と刀〜
新たな事実U
告げられたのは“鍵”という存在に魔力を集め、世界的な大規模魔術を起こして夢を叶えるという相手側の、夢。
確かに聞こえは良い。だが、それが引き起こす影響が分からない以上、止めなければならないのだ。

「今のところの対策が出て来たやつらを片っ端から倒していく、だけじゃなあ……」

陽の会議の参加方法は、携帯電話。あちら側でそれをスピーカーに繋ぎ直してもらい、何とか参加出来ている。
それこそ良く思わない人間たちとは対立しているが、別に心の底から大嫌いという訳ではない。そういう価値観を持った人間が居る事を理解しているから。

「さて、これからどうすっかな?俺一人で“鍵”とやらを探しに行く訳にもいかねえし……むしろ物体なのかも分かって無いなら探す宛てもないじゃん」

携帯電話を敷きっぱなしの布団に投げ、自身も倒れる。
時刻はまだ午前八時。普段の休日なら寝ている時間帯だ。

「寝ようにも寝れない……頭が冴えてやがる……」

「まったく……先程から何を一人でブツブツ言っている?ついに壊れたか。いや、更にが妥当なのかもしれぬな」

やかましそうに部屋の隅から不満の声が。

「なあ、白銀。そんな毒舌なやつだったっけ?……もしかしてあの二人の影響が?」

「何を馬鹿な事を。我は何百年と在るのだぞ?たかだか、ひと月やふた月で変わる訳が無い」

絶対感染してる、と思いつつも陽は口にしない。余計な事を言われるのではないかと察したからだ。

「それで、会議の内容はどうだったのだ?」

「あいつら……『永遠の闇』の連中の目的が分かった。夢を叶えたいらしいぜ」

「夢とな……?そんな子供じみた事のために?」

白銀が人の姿をしていたなら、きっと頭を抱えていたであろう。それ程、聞いた人間にしてみれば拍子抜けな事。

「確かに飛澤のやつも俺と戦うなんていう夢があったな……それは叶ったけど」

「つまり奴らは全ての夢を叶えたいがためだけに、戦うと?そんな馬鹿な話が−−」

白銀が言いかけた時、横槍が入った。犯人は月華。

「それがあるのだよ、銀の宝刀。小さき者ほど、叶えたい大きな夢が……何かに縋ってでもだ」

「月華……じゃないよな」

「そうだ少年。聞こえたので依り代に意識を借りているのだ」

月華の意識を借りた月詠が、何やら意味深に語る。まるで、過去を思い出しているかのようにゆっくりと。

「どんな夢であっても叶えるには苦労が掛かる。たとえ魔術が使えたとしても……それを即座に叶えるなどと言われれば付いて行きたくもなるだろう?」

「……我には、分からぬな」

「そう、か。それが言いたかっただけだ……依り代とワタシは戻る。下の部屋に居るから早く降りて来るのだ少年!」

何故か最後に怒鳴られた陽は訳も分からず呆然とするしかなかった。

「早く降りて来いって……まだ八時だぜ?腹もすかないぞ」

「済まぬが陽、しばらく考えたい事がある。席を外してくれぬか?」

「ん……白銀なりに思うところがあるんだな。俺で良いなら力になってやるよ」

それだけ言い残し、颯爽と自室を後にする陽。彼なりの気遣いだろう。

「夢……?そんな物など……」


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あきゅろす。
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