〜龍と刀〜
新たな事実T
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「まったく緊急会議とは何事だ」
「そうだな。家族との大事な休日を何だと思っているのだか」
「なぜ代理なんかのために動かなければならないのか分かりかねる」
愚痴を言い合う老人たちだが、これでも流派の頭首だ。
『毎回思うんだが普通に聞こえてるんだけどな?その場に居なきゃ関係ねえとでも思ってんのか?』
イライラした声がスピーカーから響く。
学生の身で頻繁に行き来出来ない陽はこういう形で参加しているのだ。
「ふんっ所詮は子供の強がりであろう?さっさと捕まるなりしてしまえば良いのにな」
『あんたら……その内潰すぜ?』
「やれるならやってみるといい。弱小の流派など金の力で−−」
「……」
老人の言葉を邪魔するように目の前を横切る者が。
「ああ?何だ居たのか……通りで金属にまみれた臭いがすると思った訳か……貴様、体を清めて来たらどうだ」
「何だと……!?」
『ふぅ……俺、その場に居なくて良かったぜ。錆びた金属の臭いなんて嗅ぎたくないし?』
到着した十六夜も言い争いに参加し、更に騒がしく。
しかし、犬猿の仲の二人が手を組めば勝てない者などいない。
「何故お前たちは仲良くというのを出来ぬのだ。したくなければ一言も発するなとあれほど言っておろうに……」
呆れた様子で部屋に入って来たのは、協会の長。長い白髭が自慢の老人だ。
「これはこれは長、今日もご健勝で……」
「そんな言葉は要らぬぞ?今までやってた事、口調、性格などはとっくに把握しておるのじゃからの。今更繕ったところで変わらぬよ。媚びても変わらない」
全てお見通しだ、とでも言わんばかりの物言いに、誰もが皆黙るしかない。
「ふむ静かになったな。では、緊急の会議を始める……『御門流』頭首よ、説明を」
「承知した。我々は昨日、敵方との接触があり、その内の一体を捕獲し尋問を行った」
淡々と述べられるのは事実のみ。そして、最も重要な事だ。
「その内の一体、オーブルという魔物から成り上がった魔術師によると、彼らは一人一人に夢があるらしい」
「夢、か……」
「心当たりがあるのか、金鳳の?」
十六夜の言葉に全員の注目が集まる。
「いや、別に大した事じゃないんだが……俺様と戦った奴は、人間になるのが夢だと言っていたのを思い出してな」
「人間に?」
「ああ。そのために人間を喰って魔力を得るらしいな。詳しい事は知らねえがな」
タバコを取り出し、火を点けた。今日は珍しくライターだ。
「それでは本題に戻ろう。その夢を一度に全て叶えるという大規模な事を行うらしい……これは組織の大きさの理由だな」
「なるほど……それを行うためには膨大な魔力が必要という訳じゃな?各地で暴れているのはそのせいか」
「それを行うためには必要なのが“鍵”。剣凰は知っているな?」
『知ってる。名前だけ』
前に幸輔から聞いたのだ。“鍵”を奪わせないため、陽を襲うと。
しかし繋がらない。奪われたくないなら陽に構わなければ良いのだ。
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