[携帯モード] [URL送信]

〜龍と刀〜
陽の学校生活W
「今日は力こぶ二個分だからバスケだ!各自ケガの無いように!以上!」

意味が分からなかった。分かったのはバスケである事、それだけ。
それだけを言い残してどこかへ行ってしまった。

「よぅし!龍神、勝負だ!」

先程、屍と化した井上が人差し指を陽に突き立てる。

「あ?だるいから無理。お前はボールとでも遊んでろ」

その挑戦をことごとく無視。そして、突き立てられた人差し指を後ろに反らせる。

「いたたたっ!ちょっ、マジで痛いってば!」

「あ、屍が喋ったーあー怖いなー」

「棒読み、こっちが怖い!龍神、止めて、折れる……」

陽の耳にはこう聞こえた。

「来るが良い!どこまで耐えられるのか確かめてみたかった所だ!」

「何?!その妙な変換機能は!?」

井上は一人で突っ込みを行う程に錯乱していた。それほど痛かったのだろう。

「龍神、そろそろ止めてやれよ。頭までこれ以上おかしくなったら色々とマズい。世間的に」

「ん、そだな。ただでさえおかしいのにこれ以上って……やべえ寒気してきた」

仕方無く押さえつけていた指を放してやると井上は陽から距離をとった。

「龍神!やっぱり勝負しろ!何かやらなきゃ気すまない!」

「ったく仕方ない……中島、審判頼む」

転がっていたボールを軽く蹴り上げて手に乗せる。

「いいの思い付いた!シュートの本数を競うってのはどうだ?」

「シンプルだな……十分間で何本入れられるか」

「元バスケ部なめるなよ?」

練習のように投げたボールは、見事リングに弾かれた。

「元バスケ部?」

「う、うるさい!見てろよ?」

陽は笑いを堪えるのに必死だった。
そんな訳で急遽、龍神 陽対井上 和真のシュート対決が始まる。

一方その頃。

「ねぇねぇ、男子の方でまた何かやるみたいだよ!」

男子と女子は別々の場所で行う。体力的な物もあるが、井上のような輩が少なからずいるため、というのが大きな理由だ。

「また井上か〜。どうせ勝てる訳ないのにね〜」

「バカだから仕方ないんじゃない?誰かさんは龍神君の活躍が見れるからって喜んでるけど?」

視線が月華に注がれる。
本人は気付いてないらしい。

「龍神君、鈍感だよね。絶対。それは良いとしてどっちに賭ける?」

「あ、私龍神君にジュース賭ける〜」


クラスの男子バーサス陽、というのは一種の見物となっていた。
女子の間では賭け事になって流行っている。

所変わり男子側。

「残り五分〜!現在の結果、龍神八十五、井上三十一。一分に十本は入れないと勝てないぞー」

審判中島が結果をお知らせする。
聞いての通り陽が圧勝していた。

その間も陽はポンポンと数を重ねていく。
井上はと言うと、これがなかなか入らない。元バスケ部は肩書きだけになってしまいそうな勢いだ。

「くっそっ!入れよお前!」

なかなか入らないボールを叩いていた。自分に非があるのを認めたくないらしく、何度もボールを変えている。

「残り一分!さあ、どちらが勝つのか!龍神か井上か!?」

勝手な実況が入っているが、気にしないでおこう。
カウントが三十を切った時、陽は何を思ってかボールを置いてしまった。
井上はまだ頑張っている。

「終了ー!井上早くボール置けよ」

実況口調から元の口調に戻った中島。裏表があるらしい。

「えー龍神百八十に対し井上は……百!元バスケ部の名は伊達じゃなかったみたい」

「当然!」

ズビシッと親指を立てる井上。

「でも負けは負けだぞ」

陽の追撃により膝から崩れ落ちる。顔文字で表すと、半角のオー・アール・ゼットを組み合わせた、オルツとか言うやつになっていた。

[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!