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幸せはどんな味?(土方)


貴方に会えて笑顔をみつけた。


「ったく、総悟の奴。どこ行きやがった!!」

毎度の如く見廻りをサボった総悟さんを探しているんだろうな。
般若の様な形相でもしているんだ。きっと。
こちらにやってくるの怒鳴り声が嫌でも近づいてくるのが眠い中でも分かる。

「…仕事しなきゃ。」

縁側に横になっていたため節々が痛いが気にしない。
さてと、仕事しなくちゃ。

上半身を起き上がらせると、すぐ下で物音がした。

「うおっ」

その音の原因に首をむけると、
仰向けで寝ている土方さんがいた。

「…えっと、そんな所で寝てたら風邪引きますよ?…副長。」

その言葉にピクリと反応して般若ではなくまさに鬼の形相をしたその人が振り返る。

「あ゛?てめぇのせいだろーがどうみても!!
てめぇがこんな所で寝てるから俺はこうなったんだ!!」

「…そうだったんですか?
まぁ、転んだのなんて恥になりますもんね。
総悟さんも見てますし、」

「名前、もう一度言ってみろ!!」

「聞いてなかったんですか、副長?、そこの木の上で隠れて見てましたから。それじゃ。」

布団を畳みおえてそれを引き摺りながら部屋へと行こうとする。

「おい、ちょっと待て。なんで、俺だけ副長なんだ!?」

「え?副長は副長でしょう?」

「まぁ、そうだが…。なんで、総悟の名前は呼んでて俺は呼ばねぇ…。」

俯きがちに言った先ほどの覇気もへったくれもない土方さん。…とその横でにやついている総悟さん。

「じゃあ、マヨ方さんでいいんじゃないですかィ?そっちのがお似合いでさァ。」

「あ、総悟さん。」

言い捨てただけ言ってさっさと去っていく。
…私が八つ当たりされちゃうじゃないですか。

「なっ!?こら、待ちやがれ総悟!!
おい、名前。これから、土方とか苗字でもいいから俺もそう呼べ!!」

ガバッと音がしそうなくらい顔を勢いよくあげてそう言った土方さんの笑顔が素敵だった。

「はい…。」
「あー…、今から仕事か?」

ボリボリと頭を掻く仕草をしながら目配せする姿も様になるから羨ましい。

「今日は休みですが、総悟さんの溜まった仕事をしなくちゃいけないんで。」

「あいつ、またサボりやがって。…じゃあ、今日は年相応に遊んで来い。」

一瞬、言われた事が分からなくなる。

「…へ?……でも、それなら鍛錬します。」

「なら、俺が今度それに付き合ってやる。
それか、今から俺と遊びに行けばいい。」

だんだんと訳が分からなくなる。
…最終的に分かったのは遊びに誘われているという事くらい。

「か、勘違いするなよ!?たまたま休みだったからだ!!暇で、総悟を追いかけてただけだしな。」

何故だか必死な様子の土方さんに笑いがこみ上げる。

「…っ、あははっ!!」

堪えなくちゃいけないと思うのに笑えるなんて久しぶりだ。

「お、年相応に笑えんだな。…って、俺で笑ったのか!?」

「あの、土方さん。江戸の町を案内してください。」

「お、おう。はぐれんなよ?」

ニヒルな笑みを浮かべる土方さんはさぞかしおモテになるんだろうと思ったのは内緒の話。




「楽しいですねっ!!」



年相応に笑えてるか不安だけど、
精一杯の笑顔を貴方に。













〜小話〜
その頃、影で見守っていた人が二人。
「名前ちゃんが笑ったー!!笑ったよ、総悟!!」
「…ちっ。俺ですら笑わなかったんですけどねィ。
なんで、野郎で笑うのかさっぱりでさァ。」
「さてとだな、尾行ついでにお妙さんに会いに行くかな!!」
「また、ストーカーですかィ?」
「い、いや断じて違うぞ!!尾行がメインだ!!」
「じゃ、俺も行かせて下せぇ」
「も、勿論だ…。」





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