ずっと、(沖田)
突然、「恋に落ちた」と宴会の盛り上がり真っ只中。
高らかに宣言した君がいた。
周りは呆然と納得の声。どよめきよりも嬉しそうな声が多数上がる。
まぁ、普通のこの年頃の女子なら恋しても当たり前だと誰もが思ったらしい。
…けれど、数日後その相手が発覚。
物議を醸し出した。
甘党で糖尿病寸前の白髪天パな万事屋『坂田銀時』。
よりによって、敵に回すと厄介な人物なんだと恨んだ。
…それから数日後。
「あ…」
縁側に座って遠い何処かを見つめる名前を見つけた。面白くもなんともない。
「そんなマヌケ面して旦那の事でも考えてるんですかィ?
…よく、飽きやせんね」
「へっ!?嘘っ!!って総悟!?」
「カマかけただけなのに相変わらず単純でさァ」
「なっ!?…別に、万事屋さんの事は考えてないし。」
「本当ですかィ?俺は嘘吐かれるのが嫌いなの知ってやすよね。」
自分の前じゃ、
ちっとも素直じゃない名前に対して醜い感情が腹の中を渦巻く。
だから、子供じみた最後の意地悪を考えて実行してやった。
ほら、嫌われるのを恐れる君はどんどん涙目になってきた。
泣く寸前で止めないと近藤さんからの
説教と拳が飛んで来そうだから程々にしなけりゃなんねぇ。
「…う、嘘吐いちゃったけど嫌わないで。」
あぁ、コイツを嫌えるものなら嫌えればいいのに。
何故か君だけは嫌えない俺がいる。
それが土方に負ける時よりも数倍以上に悔しい。
真撰組唯一の女隊士。
平隊士にも慕われていて優しい君。
腐れ縁とも言っていいずっと傍にいた幼馴染。
名前はいつでも自分の隣にいると過信しすぎていたんだ。
なんで、言わなかった。いや、言えなかった。
関係が崩れるのが怖い。
幼心にそう自分の気持ちにストッパーをかけた過去の自分を今更ながら恨んだ。
『好きだ。』なんて、言ったら困った顔をしそうだからやめておく。
「なぁ、名前。俺がその恋応援してやりますぜ。」
ニヤリと笑う。
すると、君は最高の笑顔を浮かべてくれた。
俺の儚い思いよりも君の幸せを願ってやる。
親友としてずっと傍にいよう。
『封印したこの想いが誰にもバレませんように。』
「おい、総悟!!鍛錬付き合え!!」
「今日だけでさァ…」
「や、やけに素直だな…。気持ち悪ぃ」
「死ね。土方コノヤロー」
「ああ゛ん!?」
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