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キミのトナリ
E
―柊 side―

「んっ…。」

まるで、何かに押し潰されているかのように、身体が重い。
明るさを感じて、重い瞼を開くと窓から白い光が射し込んでいて、部屋全体が明るかった。
今が朝なのか、昼なのか、いったい自分はどのくらい眠っていかのか全く分からない。
ゆっくりと枕元に置いた携帯に手を伸ばし、時間を確認する。

「…6時…って。」

昨日帰って来て、すぐにベットへ倒れ込んでそれから一度も起きてない。
こんなに長い時間眠ったのっていつぶりかな?
それでも、寝過ぎたせいなのか少しもスッキリしてはいない。
ボーっとしながらもう一度携帯に目をやると、『新着メール2件』という文字が目に入った。

1件は夏樹からで、『具合は?アイツには上手い事言っといた。お前の事大事に思ってるだってさ。触れ合って分かる事だってあるんじゃない?早く食われちゃえ!』という内容。
朔弥が僕のこと…大事って、夏樹は何て言ったんだろう?
まさか、あの事朔弥に言ってないよね?
焦りながら、次のメールを開くと、朔弥からだった。
ドキドキしながら、送られた文章を読む。

『大丈夫か?今すげぇお前に会いたい。』

「あっ…。」

嬉しくて言葉が出てこない。
すごく短い文章なのにストレートに僕へ届いて、心をギュって掴まれたみたいだ。
さっきまで感じていた身体の重さは嘘みたいに消えて、慌てて起き上がるとベットに正座し、早く朔弥にメールしなきゃと指を動かした。

『心配かけてごめんね、今起きたところだよ。たいしたことないから大丈夫です。僕も朔弥に会いたい。』

そのままの勢いで送信して、携帯を握りしめ、正座したまま短く息を吐いた。
時間考えないで送っちゃったけど、まだ寝てるよね。
朔弥とはあまり電話もメールもしないから、いまだに緊張する。
朔弥は僕のこと大事だって、僕に会いたいって思ってくれてるんだ。
なんか今…すごく朔弥に抱きしめられたい。
夏樹が言う『触れ合って分かる事』を僕は知りたいと思った。
こんなに朔弥が好きなのに、何で僕は始めから諦めていたんだろう。
気持ちが落ち着いてベットへ横になろうした時、携帯の着信を知らせるメロディが鳴り、慌てて再び起き上がり正座で座り直した。

「もももっもしもし?」

『…ごめんな、こんな朝早くに。具合…どう?』

「うっうん、大丈夫だよ。」

電話の相手は朔弥。
僕はドキドキして今にも口から心臓が飛び出しそうだ。
朔弥は今起きなのかな?少しだけ元気がない気がする。

『柊…今からそっち行っていいか?』

「うん!待ってるね。」

声を聞いただけで、会いたくてたまらなくて、すぐさま返事をした。
決して不安や疑心が消えたわけじゃないけど、僕はもう…朔弥を諦めたりしない。


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あきゅろす。
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