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ショート
Let's Try!(仙流)
それはまだ、二人が同棲し始めて間もない頃。
或る日仙道が野菜を物色しながら流川に声を掛けた。

「流川ー、カレーの辛さ、どこまで大丈夫だ?」
「んなもん……食ってみなきゃわかんねー」
「そりゃそうか。じゃ色々試してみようか」


そんな会話があった数日後、仙道が色んな種類のレトルトを一つずつ買ってきた。
それを湯で温めて一つ毎に半分に分けていく。
辛さの段階の違う物と、キーマとかインド系とかタイ系とか種類の違う物を、流川は呆れたみたいに眺めた。


まずは甘い方から試して、仙道が一つ一つ確認する。
「これは?」
「甘過ぎ……」
「物足んねーか、じゃあこれは?」
「ヘーキ」

中辛、辛口まではイケる様だ。
そして大辛になった時、流川は眉を顰めた。

「……辛ぇ……」

ふーん、じゃあこの辺までかと思い、駄目だったのを仙道は自分の方に寄せる。
流石に激辛は買ってこなかったので、辛さに関してはここまでにしておく。

グラスの水を飲んで流川は仙道を見ると、残されたカレーを普通に食べている。

「アンタそれ……」
「ん?まぁこの位ならな」

すると流川はムッとしてしまう。
じっと仙道を見つめていた彼が徐に言った。

「───今度からアンタと同じのでいー」
「へ?口に合わなきゃ旨くねーだろ?」

すると流川はムスッとして言うのだ。
「アンタが食えんなら、オレだって食える」

そんな台詞に仙道は目を丸めた。
それから思わず笑いこけてしまえば、流川はやはりムッとしている。

「こーゆーのは勝負じゃねーだろ」
全く、どんだけ負けず嫌いなんだと、呆れるよりも笑えてしまう仙道だった。



そうして何だかんだ、辛さというのはある程度なら慣れるらしい。
同じ物に決まっている訳ではないが、仙道が好む程度までなら流川も段々慣れて平気になっていった。
お陰で鍋で作る時に別々にしなくて良いのは助かる。

そんなこんなで結果的には仙道に染められていっているのだが、勿論流川にそんな自覚はなく、対等でいる事が嬉しい様子なのだから問題はあるまい。


これも一種のバカップルなのか、そこまではいかないものか、それは言わぬが花としておこう。




───────おしまい。

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