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ショート
ブルームーン(平新)
「うわ、すげー光ってるぜ」

新一の言葉に彼の視線を追えば、空にはまん丸の月が文字通り輝いていた。
「……そーいや昼間女共が言うてたな…ブルームーンやて。22:58頃に願い事すると何やとか……いっちゃん魔力が強なるとか言うて」

それを聞いて新一は肩を竦めた。
「女ってそーいうの好きだよな」
「願いなんちゅーのは、自分から動いてゲットせななー」
神頼みなど滅多な事ではしない二人は、そう言って頷き合う。
だが不意に平次が動きを止めた。

「?───どうした?」
不思議そうに見られて、平次はフッと笑みを零した。
「別にー?」
「何だよ、気になるじゃねーか」

すると平次は目の前の新一の唇に、自分のそれをスッと掠めた。
驚いた新一は、次の瞬間、頬を染める。

「テメ…っ、外でフザけた真似すんな!」
「せやから月の所為やてv」
「はぁ?!」

蹴りの発動しそうな脚をいなして逃げを打つ平次を、工藤邸を目の前にして新一は彼の腕を掴んだ。
すると平次は彼を見て、表現し難い笑みを浮かべる。

「………月の光でめっちゃ艶っぽく見えんねん……そやからつい、な」

予想外の事を言われて新一が目を丸くすると、今度は向日葵みたいな笑顔で彼の手を引っ張って、家に連れ込んだ。

「続きは中でシヨ…なv」
「するか、バカッ////」

そんな言葉の抵抗は、どうせ意味をなさないと互いに解っているだろうに、まるで言葉遊びの様に暫し言い合う。


空に浮かんだ月は何も知らぬ気に、ただ地上に輝きを注いでいるのであった。




───────おしまい。

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