ショート あの時の約束(平新) 「なぁ工藤、休みもう一日あるやんか、大阪来ぃへん?」 新一のバースデーを一緒に過ごした次の日、工藤邸でまったり過ごしていた平次が言った。 「はぁ?折角オメーがこっち来てんじゃねーか。メンドくせー」 「せやかてなー……あん時の約束、果たされてないやん?」 「あん時?」 平次は端的に答えた。 「京都の織姫さん」 「…………あぁ……」 そう言えばあの後、実際に大阪へは行っていなかった。 「まだ憶えてたのかよ」 「おまえが生きて戻ってきたんやったらそれで良かったからな…」 平次にしてはしんみりとした口調に、ふと新一は、あの時平次がどんな気持ちで大阪に居たのか考えてみた。 「……何だかんだ傷だらけだったしなー……」 あれは寧ろ、自分一人の方が良かった。 もしあそこに平次が居たら、自分の代わりに標的になりかねない。 平次を失うのは、自分が死ぬより嫌だ。 「……てか、アレはお好み焼きはダシに使っただけだろ?」 本人には言ってないが、結構感動したのだ。 特に『絶対やぞ』というフレーズに。 「言うても、今はこーやって元の姿で側に居ってくれてるからええけどな」 「だったらいいだろ……明日までここに居ろよ」 ここでなら、誰にも邪魔されず二人っきりで居られる。 お好み焼きは、大阪に行った時のついでで充分だ。 「……まぁ、オレは工藤と居られれば何処やろと構へんけどな」 笑う平次に、新一は悪戯っ子みたいな笑みを浮かべた。 「────だったら、ココに居たいって思わせてやるよ♪」 「おわっ?!」 新一は平次をソファーに引き倒して、その上に跨った。 「当分自分でスル必要ねーかもな♪」 平次の躰をまさぐる新一の手を捕らえて、平次はその指を舐めた。 「……っ……////」 「そやったら……覚悟しぃや?」 そんな言葉通り、平次が大阪に帰る時間まで、二人は工藤邸に篭りっきりだったとか。 鳴かされまくった新一の喉は暫く掠れていて、新幹線内では、平次は大阪まで爆睡していたのだとかいう話。 ───────おしまい。 [*前へ][次へ#] [戻る] |