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TALES OF NOVASIS
覇気を従える男



乾いた大地。

プロローグとなるこの舞台は、一言で言えばまさにそれだ。
草は広大な大地に反して少なく、上空から見れば、黄土色の紙に深緑のペンで細くまだらに点をうったようなものだ。
土に水気がなく、表面には黒い蛇のような小さなな亀裂が交差している。
風は大地の粉塵を巻き上げ、口笛のような音をたてながら吹き荒んでいた。

男は歩いていた。
無表情のまま、豪奢な装飾が施された服をなびかせ、その地を踏みしめて。

男は丘の頂まで歩き続け、そこから眼下の平原を見下ろした。
その地では、戦争が繰り広げられていた。
青と赤、それぞれ所属する国を示す色の鎧を纏った男達が、命を賭している。

何かを発砲する音とともに、今の今まで生きていた兵が倒れる。
その断末魔や、金属がぶつかりあう事で生み出される、キンという澄んだ音が響き渡る。
戦の奏でる『音楽』、狂気の奏でに酔いしれる男達の音は、遠く離れている男にも聞こえていた。


もはや人間の理性などない、殺戮がルールと化した場所。
残酷な行いが許される舞台。
それが、戦場だ。

『悠久の時を経てもなお、人は争いを好むのか。……無駄な殺生はしたくないが、やむを得ない。まずは、この世界を正さねばならん』

男は、悲しみのこもった瞳でその惨劇を見つめた。
その次に、眼下を見下ろす時には、また機械のような無表情に戻りその地から飛び降りた。
革を連想する、濃い茶色に黒いラインの入った外套が下から吹き上がってくる風に翻る。

男は、ざくっ、と乾ききった大地に降り立つ。
着地時の衝撃を和らげる為に屈めていた両膝を伸ばしてから、天へ右手をかざした。
双眸を閉じ、まるで何かを念じるように俯きながら。



【NEXT】#

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あきゅろす。
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