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刀剣男士と私の本丸事情
皆にお礼がしたい


『何かお礼がしたいな』

「お礼ですか?」

『うん、いつも頑張ってくれてる皆を労いたいなって』

そうですね、と一緒になって考えてくれる。

「主が声を掛けるだけで労いになっていますが……宴会でも開いたらどうです?」

『宴会か。良さそう、かな』

酒を想像すれば次郎太刀と日本号が頭に浮かぶ。

「のんだくれ連中は放っておけば良いんですよ」

ね?と私を見上げる長谷部に鼓動が早くなった。

『そっ、そうだね。じゃあ料理は光忠にも手伝ってもらっ』

「――審神者様、」

腕を引かれて前のめりになる。

『?!』

「さっきのお返しです」

そう言って顔を寄せ、ふわりと唇に触れた。

「料理の手伝いくらい俺がしますから、あんな男と二人きりになるのはやめてください」

光忠に嫉妬したのだろうか。
さっき私は『光忠にも』と言ったのに。

『私は最初から長谷部と一緒に作るつもりでいたんだよ」

伝えると長谷部は目を見張る。

「手が足りないだろうから、料理がうまい光忠にも手伝ってもらおうって話をしようとしただけ』

「っ、失礼しました。俺はとんだ勘違いを」

少し顔色を悪くして狼狽える長谷部が、なんだかおかしくて。

『っふ、あははは!長谷部可愛い』

笑っていると長谷部が不満の声を発した。

「可愛いのは加州の特権でしょう?」

ふいっとそっぽを向いてしまった長谷部。
その頭を、なでなでする。

『機嫌直してよ長谷部』

「俺の機嫌は悪くありません」

『そうですかっと。髪さらさらー、気持ちいい』

さわさわ弄ぶ。

「そうですか、ありがとうございます」

むすっとした長谷部がまた可愛くて仕方ない。

『可愛い長谷部、大好き!』

言いながら後ろから長谷部に抱きついた。

「……可愛くない俺はお嫌いですか」

さっきの、ほの暗い雰囲気をまとった長谷部を思い返す。

『ううん、好きだよ。だって長谷部だから』

「俺だから?」

『うん、長谷部にだったら何されても嬉しいかも。浮気は論外だけど』

「っ、なんてことを言うんですか貴女は」

頭をぽんぽんと撫でてくれる長谷部。
機嫌は直った様だった。

『本当だよ』

「わかりましたから……これじゃあ生殺しだ」




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