ビフ赤短編集 2※※ あれから味をしめたのか男たちは代わる代わる俺様を抱いた。桜餅はまだ何もされていない。 今日は御侍か。何も思わない。ただ、自分がひどく汚いものになっていくだけだ。 「ビーフステーキ!」 ジンジャーブレッドの鋭い声に呼応するように双剣を振り回す。 「まだ、見つからないのか…!」 焦燥感は日に日に増していく。目撃情報はあれ以来なく、パラータで聞き込みしても有力な情報は得られない。ここら辺は治安が悪いのか武器を持っていると、盗まれそうになったり、はたまた突然殴りかかられたり、溜まりに溜まった性欲の捌け口に過剰防衛になってしまっていた。 「……少しは手加減を覚えたら?そんなんだから赤ワインに詰られるんだろ。」 「あ"ぁ??」 「分かった、分かった…。アタシはもう何も言わない。」 明らかに苛苛しているビーフステーキの怒りに触れないようにジンジャーブレッドは「そういえば…、」と切り出す。 「あまり一般には知られていないオークション会場があるんだと。そこなら、もしかしたら……、って、おい!!」 ジンジャーブレッドの声が届かないのか、走り出したビーフステーキは命知らずのチンピラどもを双剣で斬り伏せ、通ったところに道が出来上がっていた。 「………。」 ジンジャーブレッドはため息を零し、ビーフステーキを追いかけた。 「んあっ…、あっ、ふ、く…ッ」 「こら、声を抑えるな。」 「あ"ッ!そこ、ぐりぐりしな"、ぁ"ッ、で、っ!」 前立腺をゴリゴリ抉られ体をわななかせる。きゅうきゅうと締め付ける胎内に御侍は満足げに腰を打ち付けた。男の前ではしたなく声をあげる姿はまるで安い娼婦のようだ。 愛しかったあいつがくれた初めては、今になっては全く思い出せない。 「ここで、食霊をオークションにかけていたのは確かか。」 ビーフステーキが剣を喉元に突きつけるとオークショニアは首がもげる勢いで頷いた。 「貴族のような装いの男の食霊を知ってるか?」 その横で呆れた顔をしながらオークショニアに問う。肯定を示すように頷きながら泣きそうな顔で白状した。 赤ワインともう一人少女の食霊が売れた。目撃証言があった二ヶ月前のことだった。売った者の名前と住所を聞き出し、オークショニアを捕えた後、赤ワインと少女を救出することを第一として作戦を決行した。 見つけ出した屋敷に二人は足を踏み入れた。警備兵らしき者たちを気絶させ、手当たり次第に扉を開けていく。 「きゃっ?!」 勢いよく扉を開いた直後、小さな悲鳴が聞こえてきた。 「あ、あの…、誰、ですか…?」 簡素な部屋の隅でかたかたと体を震わせる少女の姿を見つけ、ビーフステーキは肩の力を抜いた。 「君が赤ワインと一緒に売られた食霊だな?」 「あ、はい…。あっ!赤ワインさんは!!」 どうやら件の食霊のようだが、ハッとしたような顔を見せた後、じわじわと涙が滲んだ。 「おい、ビーフステーキ…、って、アンタ…。」 「いや、ちが、これは…!」 あたふたと弁明しようとするビーフステーキの服の裾を桜餅がぎゅっと掴んだ。 「赤ワインさんが…!早く助けてあげてください…!!」 少女は青白い顔で懇願する。赤ワインが酷い仕打ちを受けている、その目が必死に訴えかけていた。 「__ああ。」 そっと裾を掴む小さな手を優しく外し、ビーフステーキは立ち上がった。 「そっちは任せるよ。」 「恩に着る。」 少女をジンジャーブレッドに任せ、ビーフステーキは屋敷の廊下を走る。 「何やら騒がしいな…。」 腹が膨れるほど胎内に注がれ、ただ胃液のみを吐き出すこと数回、赤ワインの顔は涙と唾液と胃液でベタベタに汚れていた。 虚ろな目で虚空を見つめ、虚無の畔に佇む。孤独の二文字が後ろを付いて回る。 御侍が何かぼやいている。その言葉は右から左へと流れて意味が取れない。 「赤ワイン!!どこにいる!!」 その時、懐かしい声に宙を漂っていた意識が体に還る。 「ビーフステーキ…!!」 掠れた声で、喉のひきつれた痛みを無視し、腹の底から名を呼んだ。 「何だと…、警備兵はどうなっている?!」 驚く御侍から逃げ出そうともがき、萎えかかった逸物がずるりと後孔から抜け落ちた。その刺激に体を震わせる。 「赤ワイン!!」 扉が開いたその先にいるのは紛れもないビーフステーキで、目尻から一筋零れた。 「貴様か、そいつに触れたのは。」 地を這うような声を出すビーフステーキを見て御侍は情けない声をあげる。問答無用の一撃をくらい、命はあるだろうが重症をおった男を呆けて見ていた。 「赤ワイン…。」 怒りが鎮まったのだろう、先程の怒気を感じさせない声色で俺様の名を呼ぶ。眉を下げ、何やら言いたげな複雑な顔で手枷を壊された。 「無事か…?」 腫れ物を触るような手つきで俺様の体に触れた。瞬間、剣をあいつの肩に突き立てていた。濃厚な血の香りで覚め、自分の行動に驚き手が震える。 「あ、悪い、そんなつもりじゃ…、」 言い訳じみた言葉がぽんぽんと口から出てくる。 「分かってる。……つらい思いをさせた。」 抱き締められた、伝わる熱に涙が止まらなかった。 「触るな…っ!!きたない、から…ッ!!」 こんな姿を見せたくなかった。プライドをズタズタに引き裂かれ、弱り果てた姿でこいつの隣には立ちたくない。それに、俺様の体はもう、こいつの知るものじゃない。孤独に生きていくしかないのだ、それを嫌でも突きつけられた気がして、ビーフステーキの腕の中で暴れる。 「貴様は汚くない。その心は今も昔も変わらない……。なぁ、帰らないか?」 「帰る?どこにだ…?俺様の居場所はここで、貴様が言う場所にはもう…無理なんだよ……。」 契約は果たされた。その事実がある限り帰る場所はここだ。 「偽りの契約に何の意味がある。その男が破棄すればいいだけのことだろう。」 「それは…。」 正論をぶつけられ言葉に詰まる。 「……で、これはあの男のか?」 「ひっ…、」 ぐ、と膨れた腹を押される。排泄口から白濁液が溢れた。 「う"ッ…、」 途端に込み上げる吐き気を、手で押さえることで堪える。 ビーフステーキは眉根を寄せ、男が出したものを節榑立つ指で掻き出して行く。その刺激に声を漏らす。気を遣ってのことだろうが、前立腺にその指が当たりそうで当たらないのがもどかしく腰が揺れる。快楽と激しい嘔吐感の狭間で、あいつに突き立てた傷から滴る血の匂いが緩衝材の役目を果たしていた。腹の中に溜まったものは何も無い、はずなのに…。 「っ、びーふすてーき…。」 「何だ?」 「頼む、抱いてくれ…っ、自分自身が気持ち悪くて仕方ない…っ!」 塗り替えて欲しい…__。 手枷が外された腕は自ずとビーフステーキの首に回っていた。肩口に刺さった剣の隙間から溢れる血に舌を這わすと、ぴり、とした痛みとそこから溢れる血が混じり合う。ぴちゃぴちゃと水を飲む犬のように必死に患部を舐めていると、微かにビーフステーキの息遣いが聞こえ、そこには悦楽の色が混じっていた。 「赤ワイン…。」 どさりと床に押し倒された。余裕のない顔に、滲むあいつの凶暴性。壊したくて堪らないという顔をするのが好きだった。 「来い。」 それを合図に貪るようなキスが始まる。逃がさないように舌を絡めて、酸素を共有して、会えなかった時を埋めるように、お互いの気持ちを確かめるように。先程の傷が痛み、血と唾液が混じり合う。鼻に抜ける血の香りに体の奥底から何かが這い上がってくる。 「ん、ふ…、ぢゅ、…び、ふ…すてー、き、っは…、ぁ、は…」 やっと解放され、肺が酸素を求め胸が忙しなく上下に動く。息継ぎの合間にあいつの名を呼べば、目尻が微かに和らぐのを見た。 「入れるぞ…。」 「んっ…!ぁ、はいって、きた、ぁ…、」 ゆっくりと抽挿したのがかえってその形をしっかり感じてしまい、広がっているはずの腸壁がみちみちと圧迫され、下生えが当たるまで埋まっていないのに既に最奥の入口に亀頭が来ている。相変わらず凶器的な大きさを誇るこいつの怒張をよくも咥えこんでいたな、と過去の自分が恥ずかしい。 「はやく、うごけっ、」 慣れるまで待とうとしてくれているのはきっと過去の自分がそう頼んだからで、それを素直に実行してくれるこいつに、それを覚えていたことに深い愛情を感じて熱が全身に広がる。熱くなった頬を隠すように体を捩ると、胎内に入ってるこいつの逸物の角度が変わり前立腺を抉った。 「あ"あっ…!」 痙攣する体、絶頂を迎えたはずなのに自身の先からは先走りが溢れているだけだった。 「っ…、もしかして、ドライでイったのか…?」 こういう時は目敏くて嫌になる。ビーフステーキは俺様の可哀想に腫れたそれを触る。蜜を零す鈴口に爪を立て、更に溢れた先走りの滑りを借りて竿を扱く。 「あ"ッ、ふざ、けんなぁあ"あ"、っ!やっ、ああ…っ!!」 イってる最中に刺激を加えられ、過敏になった体はびくびくと跳ねる。 「ま、て…!出る…っ。」 「出せばいい。」 「そ、じゃ…ない…っ!」 射精感ではなく、別の何かに襲われた。ぐち、とビーフステーキが鈴口を爪でこじ開ける。その刺激に耐えきれず、悲鳴のような嬌声と共に透明の液体を吐き出した。勢いの強いそれは俺様の顔にまでかかり、とろりと頬を伝う。 「貴様、そんなに淫乱だったか?」 「も、しね…っ、」 ぎ、と睨みつけるとビーフステーキは愉快そうに目を細めた。 「貴様はここが好きだったよな?」 「んあ"ッ!そ、こ…、」 ビーフステーキの魔羅がつつくのは最奥で、意地の悪い笑みで亀頭を浅く抜き差しする。 「赤ワイン、どうして欲しい?」 「き、さま…っ!」 分かりきったことをいちいちと…。意固地になって口を閉ざした。 いつの間にか始まってしまった根比べ。ビーフステーキは結腸の手前で緩く動く。前立腺にも当たらない、決定的な快楽に繋がらなくて腰がゆるゆると動く。それでもあげるのは嬌声だけ。ざまあみろ、と目だけで嘲笑った。するとムッとした顔で、先程から触って欲しいと言いたげな胸の尖りに顔を寄せた。 「ひっ、んッ!ど、こ舐めて、ッ!あ…っ、、い"ッ、かむ、なぁ…っ!」 舐めて、舌の上で転がして、あまつさえ甘噛みまで。極めて不本意だがビーフステーキに開発されたそこは、少しの刺激でぷっくりと熟れる。男たちに一度も触れられなかったそこは、まるでそうされるのを待ち望んでいたように。片方も可哀想だからと宣って空いてる手でぐりぐり捏ね回す。 「あっ、も、イく、っ!」 内股が痙攣し、吐精する。くたり、とシーツに体が沈み込む。 「赤ワイン。」 「は…っ、?」 「この勝負、私の負けでもいい。」 勝負?イったことによって呆けていたところに、ごちゅんと最奥まであいつが突っ込んだ。下生えの感触を感じたと同時に二度目の吐精を果たした。あまりの快感に声がなく、ぎゅうぎゅうと食いちぎらんばかりの締め付けにビーフステーキも胎内に吐き出した。 「で?ビーフステーキの肩に刺さっている剣は?」 あれから三度ほど赤ワインの胎内に種付し、ビーフステーキが塞ぎ止めていた楔を抜くと後孔から大量の精液がどぷりと溢れた。それを掻き出し、清潔な布で体液やら何やらを拭き取り服を着せ、ビーフステーキは途中で気を失った赤ワインをおぶって外で待機していたジンジャーブレッドと桜餅の前に姿を表した。 「成り行きだ。」 「ふーん?」 「抜かないんですか…?」 心配げにビーフステーキの肩を見る桜餅にジンジャーブレッドは一言ほっとけと返す。 赤ワインと桜餅の契約は破棄され、赤ワインはまた元通りビーフステーキと喧嘩をする日常に、桜餅は新しい御侍と仲睦まじく過ごしている。桜餅から届いた手紙を読んだ赤ワインはふっと微笑んだ。 「会いたかった方と会えて良かったですね。」文章の最後にその一文と、桜を象った髪留めが添えられていた。 [*前へ][次へ#] |