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ビフ赤短編集
思い浮かぶのは※※
パラータの海岸沿いにある闇市港。そこにはとある噂があった。
「食霊が奴隷に…?」
聖騎士団の団長であるビーフステーキは不吉な噂を聞いた。
食霊とは人間に従う兵器ではあるが、それは契約があってのことにしか過ぎず、御侍でもない人間に下るなどあるはずが無い。…が、あるひとつの可用性を除いて、だ。
もし、食霊が御侍に無理に契約破棄をされていた場合、何かしらの後遺症が残ることが観察されている。しかし、そうであっても食霊の力に人間が敵うとは思えない。人間の道具で縛り付けることなんて出来ないのだから。
だが、そこに他の要因が絡んでいたとしたら。食霊のことをよく知る第三者が__。
「おい、あいつは見つかったのか。」
団長室なんて厳かな名前の割に、そこは書類が積み重なった書斎机と、黒革の肘掛け椅子、ずらりと並ぶ背の高い本棚の他に何も無い。いや、もう一脚ビーフステーキが座っているものよりも座り心地の良い肘掛け椅子があった。そこに座ってワイングラスを揺らす男はもう、此処にいない。
ノックをせずに扉を開けたのはジンジャーブレッドだった。
「いや、全く。」
あいつなら、__「ノックぐらいも出来ないのか。」と嫌な顔を見せただろうに。
探している男、赤ワインが聖騎士団を抜けて姿を晦ました。どこに行ったのか、何をしているのか、まるで雲を掴むようで、何一つ分かっていない。
「……パラータであいつらしき男を見たって。」
「パラータ…?」
「貴族のような風体の男なんてあんなところで見られるわけがない。可能性はある。ただ__、」
不意にジンジャーブレッドが口を閉ざす。そのわけも察せないほど愚かではない。
「奴隷…か。」
「まだそうと決まったわけじゃない。いや、そうじゃないと思いたいだけかもな……。」
「そうだな……。」
沈黙がこの場を支配する。私の隣で戦ってきた男だ。その強さは認めている。
「もう少し調べるか。」
「じゃあ、あたしは闇市港の情報でも当たってみるよ。」
「頼んだ。」
沈黙を破り、前を見据える。今度こそ、見つけてみせる。その決意を新たに剣を取った。



パラータ市街地の奥、路地裏を抜け、闇市港を更に進み、入り組んだ道の先に一般人には入れない場所がある。
ステージを囲むようにして階段状の客席があり、客たちは皆、札を上げている。ステージ上にはかたかたと体を震わせる少女が一人、離れたところにマイクを持った男が一人声高々にショーを進行する。
__オークション。
それもVIPしか参加資格のない特別なもの。
商品の少女は御侍のいない食霊。ただいないだけではない、契約破棄された__いや、売られた食霊だ。
「おね、がい……たすけて……だれかぁ…っ。」
悲痛な少女の願いは誰にも届かない、人間ただ一人にも。そう、人間には届かなかったのだ。
「おい…!!お前の番はまだ…ッ!」
「俺様に命令していいのは御侍だけだ。」
ステージの袖から現れた男はふん、と鼻を鳴らした。
「よくもまあ、こんなにも暇な人間が集まったもんだ。」
男の挑発によって場のボルテージは最高潮まで上がる。
手枷を、足枷を嵌められ、武器を取られ、それでも誰にも屈することはない。赤ワインはそういう男だった。
「俺様を売っておきながら、また食霊を従えるのか。」
赤ワインは二階席にふんぞり返っている元御侍を睨みつけた。
そこで何を思いついたのかオークショニアは二人セットで値を付けた。段々と膨れ上がる金額に赤ワインはぐ、と奥歯を噛み締めた。

落札された。
それが分かったのはオークショニアの高らかな声によって幕が下りたからだ。俺様たちを買ったのはでっぷりとした恰幅のいい男で、脂ぎった肌に、湧き水のように溢れる汗が生理的に受け付けない。
俺様と共に買われた食霊は名を桜餅と言った。御侍が死に、悲しみに暮れていたところを召喚され、そして__売られた。
二人に付けられた枷は魔道学院が開発したもので、元々は堕神の捕縛用のものだったらしい。それを裏ルートで手に入れたバイヤーたちが、こうして奴隷商人にリークしていたのだ。技術士も数人忍んでいると見た。そのせいで力が抜け、人間と何ら変わりない能力になっていた。
どうにか桜餅と無事に切り抜けられる方法を考えようとしたが、目隠しをされ視覚情報を遮断された。逃げ防止か、面倒な真似を。舌打ちしたくなるところを、寸でのところで踏みとどまる。手枷の鎖がジャラと鳴る。迂闊に動けもしない。諦めに近い感情が沸き立つが、それだけは己のプライドが許さなかった。静かに目を閉じ、そっとあいつの名を呼んだ。



新しい住居。途切れた契約を強制的に結ばされた。つまり、新しい御侍ということになる。召喚されたわけでもなければ、俺様から迎えに行ったわけでもない。歪な繋がりに吐き気を催す。
「大丈夫、ですか…?」
桜餅は心配そうに俺様を見ていた。
「ああ。問題ない。」
少女は腑に落ちない顔をしたが、きゅっと引き締める。存外、心は強いのかも知れない。
「私たち…どうなってしまうのでしょうか…。」
桜餅の独り言はやけに重く冷たい床を這うように俺様の耳元に届いた。
「さあな…。」
かける言葉も見つからず、自嘲じみた呟きが漏れた。



「んぶっ、ジュル…ッ。」
吐き気を我慢して男の勃起したものを咥える。
「出すぞッ!!」
「んぐッ、…!ん、ふ…」
気持ち悪い。吐きたい。
感情を押し殺して淡々と事を済ます。ねちゃついた液体を飲み込むのも少しは慣れた。そのコツを掴めば無理矢理に喉の奥に押し込むことも出来るようになった。
あの少女だけは清廉なままでいて欲しい。
ただ、それだけのために今日も俺様は御侍に抱かれる。

「ぁあ"ッ!そこ…ッ!」
恥を捨て、男に股を開くのはプライドが許さない。だが、そうするしかなかった。抵抗出来ないように手枷は外されない。
「も、ッ…!ぁああ…っ!」
後ろからガツガツ突かれペニスがシーツに擦れ、その刺激で何度も絶頂を迎えている。シーツと己の腹の間でぐちゃぐちゃと粘着質な音が男の興奮を煽る。
「そんな緩い締め付けでイけるわけがないだろ、っ!もっと、締めろッ!」
「ひぐッ!」
パァン、と何かを引っ叩くような音が後ろから聞こえ、臀部がじんじんと痛む。その痛みに驚いた体が後孔に入った男の怒張を締め付ける。俺様の尻穴が緩いなんてことはない。貴様のご自慢のそれが小さいだけだ、なんてことを言えば手酷く抱かれた。人のことを勝手に不感症だと決めつけたり、こうやって薬を使って事に及んだりするのは男の手管が拙いからだろうに。数滴で十分な媚薬を、小瓶丸々1本なんて呆れた真似を仕出かすこの男には何を言っても無駄か。
「び、ふすてー、き。」
生理的な涙と共に零れたのは愛しい男の名。
酒に呑まれるまま無し崩れに関係を持ち、あいつの気持ちなんて手に取るように分かるのに一向に告白のひとつも寄越さない。焦れったくなり何度自分から行こうかと思ったか。それでも、あいつは腹を括ったのか初々しいまでに顔を真っ赤に染めて愛の言葉を連ねた。流石にそこまで予想してなかったわけだから、こっちまでその熱が移った。愛していた。それでも、俺様はあいつの隣りを離れた。何時までも一緒に居られはしない。置き手紙とキスを残して、眠るあいつと別れた。
それでも無意識に求めるのはいつだってあいつだった。
「またか!!お前は私のものだろう!!」
ビーフステーキの名を出せば男は怒り狂う。この歪な契約のせいで御侍は確かにこの男だが、俺様はこの体を許した覚えはない。
「ふっ、出すぞ…!!出る、出る、出る…っ!!」
「まて…ッ、それだけは…っ!」
どぴゅ。胎内のその奥に打ち付けられた精子たちが暴れ回る。汚い。中から穢れていくのを感じ、またあの感覚が頭を出す。
「お"ぅ"え"ぇ"…ッ!」
我慢出来ずに胃液を吐き出す。ツンとした匂いにまた吐き気が込み上げてくる。喉が焼けるように痛み、泪が滲む。耐えきれずに2度目の嘔吐。苦しい、のに。それさえも男の短小なペニスを締め付ける。歓喜の声をあげる男に殺意が湧く。早く抜いてくれ、そんな願いを踏み躙るように、男が出したものを腸壁に擦り付けてきた。
「最高だ…!!」
俺様は最悪だ。男の動きに合わせて揺さぶられるこの体も、その度に甘い声を漏らすのも、何もかも嫌いだ。


男に抱かれるようになって数日が経った。
ボロボロになって簡素な部屋に投げ捨てられる度に桜餅が泣きそうな顔をする。それを宥めてやる余力もなく、泥のように眠った。
そんなある日、複数の足音がこの屋敷に入ってくる。せめてもの抵抗として聞き耳を立てた。
「赤ワインさん…?」
「……こっちに来る。」
がチャリ、と扉が開く。そこには御侍である男の他に2人。どちらも普通の者ではなさそうだ。
「……何の用だ。」
御侍を睨みつけ、桜餅を背中に隠す。
「ふん。お前が毎晩物足りない顔をするから、今晩は趣向を変えようと思ってな。」
「なるほどな。__なら、こいつには手を出すな。全員相手してやる。」
「お前が満足させられたらな。」
下卑た視線が突き刺さる。舐め回すように俺様の体を眺める男たちが気持ち悪い。思わず眉を顰める。
「あの…、私…、」
微かな震えが背中から伝わってきた。そりゃそうだ。俺様が潰れれば最後、彼女はあの男たちに蹂躙されるだろう。それが分かっているから、屈するわけにはいかない。もう昔の話だが、俺様は伽南傭兵団に所属していたのだから。
「心配するな。」
たった一言声をかけた。頷いたのが背中越しに伝わってきた。

「い"ッ、」
いつも通り媚薬を飲まされると思いきや、今日は注射を打たれた。何が入っているのか分からない。それが恐怖を煽った。
「流石にそれはヤバくないか?」
「は?こいつは人間じゃないんだろ?」
「それもそうか。」
男たちの会話を聞いて怒りがふつふつと沸き起こる。唯一動かせる足で急所を蹴ろうとした、転瞬、足元がぐにゃりと歪んだ。
「あ、え……。」
体に力が入らない。急激に発熱する体。胸を掻き毟り、床に伏せる。
「なに、を……、」
回らない舌で言葉を何とか紡ぐも、男たちの笑みが深くなったのを見過ごすことは出来なかった。
「ひッ、あああっ!!」
短髪の男が俺様の服に触れた、それだけなのに全身に雷が落ちた。じわ、とズボンに染みが広がる。は、は、と酸素を求め口が開きっぱなしになり、つうと唾液が溢れて顎まで伝い落ちる。
「おいおい、これだけでイッちゃったけど?」
「人間に使えば一瞬で廃人になる薬だからな。」
男たちの会話が霞がかって聞こえる。またゆるりと勃ち上がり布地を窮屈に押し上げる。

「はいはい、喉締めて。」
「んぶぅ…、ふ、…ぢゅる、」
「こっちも締めろ、ッて!!」
「んん"~~~~ッ!!」
短髪の男が口に突っ込んできたものは、御侍のような矮小なものではなく、何人も女を抱いてきたのだろう、自慢出来るほどの大きさにどす黒い色をしたペニスだった。問答無用で喉奥まで突かれて嘔吐く。生理的な涙が滲み、どうしてこうなったのかぼんやりと考える。それを遮るように、御侍によって拡張されたアナルにずっぽりと、もう1人の体格の良い男のペニスをハメられていた。後ろから容赦なく前立腺を刺激され、余りにも強い快感に視界が明滅する。それどころか最奥をコツコツとつつかれる度に頭が沸騰しそうで、そこだけはやめて欲しくて体を捩る。
「あ?こいつ、もしかして結腸にちんこ突っ込まれたいの?」
「お前届くの?」
「当たり前だろ??何人のオンナ善がらせてきたと思ってんだ。」
頭上の不穏な会話に全く思考がついて行かない。足を持ち直されたと思ったら奥の入口に亀頭を当てられる。
「ははっ、こいつの子宮口降りてきてやがる。さっきからちゅぱちゅぱ吸い付いてきやがんの、やべぇわ。」
興奮しているのか男の息が荒い。ガツガツと穿たれては、何度達しても足りない程の熱に浮かされるこの体が悲鳴を上げる。結腸の入口が亀頭を飲み込み、カリ首も難なく収めてしまい、腹がボコリとその形に膨れていた。結腸を暴かれたことにより絶頂を迎えるが、しかし鈴口から溢れた精液は色が薄く、水っぽかった。
「も"、いげな"…ッ、あ"ッ、やらぁ"っ、」
「嫌なの?嫌ならあの女の子に変わってもらうことになるけど、どうしたい?」
女の子…?熱に浮かされた体で、頭で、それが誰か分からない。ただ、この熱から解放されたい。もっと、もっと揺さぶってほしい。
「もっと…っ、もっとぉ…!」
「あーあ、堕ちてんぜ?どーするよ?」
「好き勝手やってもいいんじゃね?男でもこんだけ顔が綺麗ならずっと相手してもらいたいしな。」
「だな。」
男のピストンが早くなり、その度にぐちゅんと淫靡な音と荒い息遣い、俺様の甘ったるい嬌声が三重奏を奏で、フィナーレへと向かう。男が最奥に打ち付け、勢いよく精液を吐き出した。その刺激にまたイってしまい、男の怒張を締め付け、最後の最後まで搾り取るような腸の蠕動運動に男が小さく呻いた。
「は、ぁ…、は…、」
だらしなく開いた口からは唾液がごぽりと溢れた。まだ治まる様子のない熱が体を這いずり回り、強制的に昂らせていく。
「次はオレね?」
短髪の男が俺様の背後に回ったと思えば、尻を両手で鷲掴み、軽く開いたのが分かった。
「うっわ、これはエロいな…。」
外気に晒された蜜壷がヒクヒクと動き愛液と白濁液が混じったものを滴らせる、短髪の男は喉を鳴らし凝視する。
「ガバガバだった?」
「いや、名器。」
「期待するぞ、ッ!」
「ひっ、あ"ッ~~~~っ!」
体格のいい男の魔羅によってこじ開けられた後孔は、胎内に吐き出された白濁液の滑りを借りて難なく男の怒張を迎え入れる。
「あっ、あっ、」
揺さぶられる度に声が漏れ、厭らしい水音が嫌でも耳に入る。
「男なのに善がっちゃうの可愛いね?」
後ろから突きながら短髪の男は口を寄せ、俺様の唇を奪った。開いた隙間から舌を潜り込ませ、歯列をなぞり、上顎を擦る。
「っ?!噛みやがって…っ!!」
気持ち悪い。反射で舌を噛んでいた。口の中に広がる血の匂いに頭にかかっていた靄が晴れる。だが、それが男の怒りを買い、頬をぶたれた。じんと痛むが、負けじと血が混じった唾を男の顔に吐きつけた。
「は、っ…、ざまあみろ…。」
「このっ!!」
もう1発殴りかかろうとした男をもう一人の男が止める。
「薬抜けたんだろう。抵抗したら……後は分かるよな?」
「ぐ…、下劣な……っ。」
脅しなんかに屈したくない。だが、それで彼女が無事ならばと、随分甘くなったものだ。
意識が覚醒した状態で何度も奥に注がれ、嘔吐を繰り返し、それでも蹂躙は止まない。体は男を求め最奥に招き入れる。あいつにしか許していなかった秘部を、気づけば誰彼構わず受け入れていた。汚い。己がどんどん穢れていくのを日に日に感じ、腐食した部分を削ぎ落としたくて、それが全身に広がろうとしていたことに絶望した。胎内に注がれた男たちの子種は、無駄死にしていく。その死骸が腸から吸収され、血管で運ばれ、臓器という臓器は既に死んだはずの男達の子種に犯されたに違いない。プールいっぱいの水にスプーン一杯の汚水を垂らせばプールいっぱいの汚水になるように、己の体は己のものでもあいつのものでも__既になかったのだ。

「はーい、お疲れさん。」
散々嬲られた身体を粗末な部屋に放り込まれる。
「だ、大丈夫ですか?!」
部屋の隅で身を縮こませていた桜餅が慌てて駆け寄ってくる。
「ちか、よるな…、ッぉ"ぅ"え"…、、っは、は、」
体が重い。それでも嘔吐感は込み上げてくる。
「大丈夫です…、きっと、大丈夫だから…。」
汚いだろうに、桜餅は俺様の体を夜が明けるまで抱き締めていた。

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あきゅろす。
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