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C

違うか。
彼の本命はきっと兄だったんだろう。
なんでもそう。
両親も、祖父母も、親戚も、友達も先生もみんな兄の方が大切。
兄の方が好き。

それは分かる。
綺麗で、頭も良くってみんなから好かれる兄。
対して僕は同じ親から生まれたのかと言うくらい地味な容姿で。
とろくて頭も人の倍以上努力しないと人並みには出来なくて。
子供の頃「赤い桟橋の下で拾ってきたんだよ」と言われて悲しい思いをしながらもどこか納得してしまったくらいだ。
まぁそれは両親にしては軽い冗談だったらしいけれど。

みんなみんな兄のもの。
だけど彼だけは違うと思っていた。

それなのに………。

「それとも、もう付き合ってたの?
なら振ってくれたらよかったのに。」
「ハル、ちが……これは……」
「違わないでしょ。
もう……必要ないんだね?
やっぱり兄さんの方が僕なんかよりいいもんね……
今まで気付かなくてごめんね。」

走り出す。

もう一秒たりともここにはいたくなかった。

そうしないと泣き崩れてしまいそうだから。


本当に好きだったんだ。



……………

自分より………




だからもう2人の邪魔は、しない。

僕は消える。





ばいばい。








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