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B

発覚して僕が泣いて、彼が謝って。
何度続いたか。

僕の何がダメなんだろう。

男だから?
子供だから?

聞いても理由はいつも教えてくれないから、根本的な解決はしない。

僕が幼すぎるから分からないんだろうか。
ダメなんだろうか。


やがて僕は泣かなくなった。
溜め息を落とし、諦めるようになった。
泣けなくなった。
浮気しても僕のところに最後は戻ってきてくれるから。
まだ許せた。
信じられた。
一番は僕だから。
それだけを信じた。
だから最近は気付かない振りをしていた。
それは僕にも問題はあったのだろうけど、鬱陶しがられて、嫌われるのはもっと嫌だった。
離れたくなかった。
いらないと言われるのは怖かった。

僕は彼にとってはまだまだ子供で、彼は僕にとって大人過ぎる人だったから。
6年の年の差はとても大きい。
ほとんどいない両親より僕には兄が父母に近い存在だったから尚更だ。
彼はその兄と同じ年。

それに一緒にいる時はとても優しかった。
幸せだと思えた。



でも、やっぱり平気だったわけじゃない。

僕は少しずつ、少しずつ心が痛まない方法を覚えていった。
ただそれだけ。

優しい彼だけを見るようにして、首筋に残った赤い痣や香水や甘いお菓子の移り香を気付かない振り。

嘘ばかりを重ねていった。
自分自身にも、そして彼にも。


そして無理やり重ねてきた日々が見事に崩壊する日がやってきた。


日が落ちるのがずいぶん早くなった秋の終わり。



何が起きているのか、分からなかった。



そこはそんな事をするような場所ではない。
仮にそういう事をする場所でだって、なぜこの2人が、……そこでしている?

だって、1人は実の兄。
僕たちを応援してくれたはずの、兄。

そして兄に覆い被さるのは、恋人だ。


僕の。


全てがスローモーションになった。
甘ったるい聞いたことのない兄の喘ぎ声。
兄が彼の名前を呼ぶ。
その兄に何かを囁く彼の声。
ぐちゅぐちゅと2人から聞こえる卑猥な音。
生々しく立ち込める生き物の匂い。

落とした鞄に気付いた兄の目が大きく見開かれ、恋人がギリギリと振り返る。

ガタガタと膝が震えて、視界が歪んだ。

でも何故か頭は冴えていた。

「なんだ、そうか……」

言葉も前に浮気された時とは比べ物にならないくらいすらっと出た。

「……ハルっ
今日、委員会って……」
「だから、2人はしてたの?
 僕が遅くなるから安心して。


 また浮気?」





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あきゅろす。
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