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Don't go back
傾向
世界史モデルの話ですが、史実には全く基づいてません(ゝω・´★)
王(シャープール1世)×捕虜皇帝(ヴァレリアヌス)(18禁)
神聖ローマ帝国の皇帝ヴァレリアヌスは、オリエントの覇者ササン朝ペルシアの軍に捕虜として捕われた。
どうしようもない、俺の頭にはそんな言葉しか浮かんでこない。
そもそも混乱状況の帝国が、ササン朝に戦いを挑むこと事態が間違いだったのだ。
俺は、冷たく固い謁見の間の地面に膝をつき、両手は重い鉄の枷で拘束されていた。逃げようとしたって、うまくいきはしない。反抗するそぶりを見せたら、すぐにでも兵士たちが俺の首を落とすだろう。
まぁ、今、殺られなくたって、王に謁見したら、そのあとは処刑だろうけど。
「シャープール陛下」
後ろで誰かがそう言う声が聞こえた。
それにつられて視線を上げると、切れ長の鋭い目を持った男が、不適笑みを浮かべて、こちらを見つめていた。
あれが、シャープール。俺が敗北した男。
「おい」
やつの声は澄んでいるのに威圧的で、思わず背筋が伸びる。しかし、さっきの言葉は俺に対してでは無かったらしい。俺の背後にいるらしい兵士が返事を返している。
「はい、陛下。いかがなさいましたか?」
「人払いだ。しばらく私とこやつのふたりきりにしろ」
「は?」
笑みを絶やさず言う王に、部下はアホな声を返す。
「だから、私と神聖ローマ帝国皇帝ヴァレリアヌスをふたりきりにしろと言っている」
今度はシャープールの言葉を正しく理解したらしい部下は、後ろで大袈裟なほどため息をついていた。
「陛下、この者は敵国の皇帝なのですよ?」
「わかっている。黙って出ていけ」
「...仕方ありませんね。ほどほどにお願いしますよ」
部下らしき声がそう言うと、謁見の間に大勢いた兵士たちは、すぐに消えた。
兵士たちが消えると、シャープールは俺を恐れるそぶりさえ見せずに、俺と視線を合わせる。そして、顎を掴まれた。
「はは、いい目だ、ヴァレリアヌス」
「黙れ、野蛮の王」
「あぁ、お前らは自分達以外は野蛮だと思っているんだったな」
「間違ってないだろう」
「それはどうかな?」
そう言うと、シャープールは顎を掴んだまま、俺の顔に自分の顔を近づけ、そのまま唇を重ねた。
「んっ!!」
重ねるだけでは飽きたらず、シャープールは俺の口内に舌を差し込む。俺はそれを押し出そうと舌を使うが、逆に絡めとられてしまった。
「んっ...んっ!!」
息が苦しくて、鼻にかかったような吐息が漏れる。それを聞くたびに、シャープールの笑みが深くなっているような気がする。
満足な呼吸を許さない時間が続いて、酸欠で頭がふらふらし始めると、やっと奴は唇を離した。
「はぁ...っ...はぁっ」
「キスのひとつで息絶え絶えとは、滑稽だな、ヴァレリアヌス」
「黙れっ」
嘲るような奴の視線に負けまいと、必死に奴の目を見て、睨み付ける。
「はやく、殺せ。捕虜になったときから、覚悟はある」
「まぁ、そう死に急ぐな、ヴァレリアヌス」
「殺す気がないなら、神聖ローマ帝国に返せ」
「それもお断りだな。まぁ待て。私が満足したら殺してやる」
そう言うと、シャープールは俺の首筋をつつっと緩やかに舐めた。拘束された腕ではまともな反抗さえ許されず、なすがままになる。
「おい、ホメリ!」
俺の首筋を堪能したらしいシャープールは、俺の腕を強く掴んだまま、閉じられた扉に向かって声をあげた。
「はい、いかがいたしましたか?陛下」
すぐに、さっきシャープールとやり取りしていた男の声がやって来た。視界にいれたその男は、線の細い理知的な容姿をしていた。こいつがシャープールの腹心のようだった。
「これを、」
そう言って、シャープールは俺を立たせる。
「これを館に連れていく。世話の準備をしておけ」
「やはり、そういうことになったのですね」
ホメリという男は、若干ため息をつきながら「御意、陛下の仰せのままに」と返して、謁見の間を出ていった。
「さて、ヴァレリアヌス」
シャープールが笑みを浮かべて、俺を抱きかかえる。
「館のことは、お前が起きてからのお楽しみにしよう」
そういうと奴は俺の首に手刀を打ち込んだ。
薄れていく意識で、ただやつの不気味な笑みだけが俺の頭にこびりついていた。
to be continued
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