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Don't go back 2
目が覚めて一番に感じたのは、頭の痛みだった。
「痛い...」
口にすると余計に痛みが増した気がした。ここ最近の戦いで、ストレスが溜まっていたのかもしれない。所謂片頭痛のような痛みだった。
「目が、覚めたのか」
突然声がして、その声の方向へ顔を向けると、俺が寝かされていたベッドの横の椅子に、シャープールが座っていた。
奴が座っていると、ただの派手な椅子でも玉座に見えるのだなぁと思った。
「さて、ヴァレリアヌス」
「何だ」
楽しそうな笑みを浮かべたシャープールは、そのまま、また俺の唇を奪う。
俺だって皇帝だ。女性経験が少ないとは思わない。しかし、この男はきっと、段違いのプレイボーイなのだろう。
俺は奴の舌の動きに翻弄されるがままだ。
「どうだ?気持ちいいか?」
やっと俺を解放した奴が問う。
正直に答えてやる気なんて、さらさらなくて、
「は、そんなわけないだろ」
と強がりで返す。
すると、奴は不適に笑って
「そうか、じゃあもっと気持ちよくしてやろうな」
と言った。
最初は何を言っているのかわからずに、呆然としていたけど、奴の長い指が俺の服を脱がし、乳首をいじり始めると、さすがに奴が何をする気なのか、理解した。
「やめろ!」
「黙っていろ、捕虜」
そう言って塞がれる唇。でも、さっきの戯れみたいなキスと、今とじゃあ、状況が違う。
俺はまだ理性が働くうちに、と奴の舌を噛んだ。
一瞬のうちに唇は離れ、捕まれていた腕も自由になった。下半身にはまだ奴が乗っているが、このくらい軍人としての役割も背負っていた俺には拘束にならない。
「はぁなぁせぇよっ」
と体を捩り、ベッドから降りると、そのまま逃げ出す体勢をとる。
しかし、事はそううまく運ばなかった。
「やってくれたな」
底冷えのする、さっきまでとは比べ物にならない低い声が響く。
「私の舌を噛むとはな、油断しすぎたようだ」
そう言って痛いくらいの力で掴まれた腕を引っ張って、奴は俺をベッドへ戻した。
「覚悟しろよ、ヴァレリアヌス」
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