蒼月の光 005 その言葉に振り返れば、ニヤニヤ、と笑う男達の姿。 シャナメルは、眉を寄せ、相手を睨む。 「不味い、ねェ」 食べかけのシリスを、再び食べ始め、 「テメェら、相当の味音痴かよ」 くつくつ、と、喉奥で笑いながら、素直な感想を述べる。 シャナメルに絡む男達は、顔を真っ赤に染めて、プルプル、と怒りに体を震わせていた。 「エース、ラクヨウとビスタ、サッチが来る……って、どうしたよぃ」 「これが不味いってよ」 「……」 マルコは、可哀想に、と云わんばかりの眼差しを男達に向ける。 それが、火に油を注ぐ羽目になる。 「テメェ等、覚悟出来てンだろうな……」 ドスの効いた声音。 けれど、海賊にそんな声音は通用しない。 「喧嘩なら、買うぜ?」 『ダメ…ッ!!』 シャナメルは、挑発し続けるエースを止めようとするが、エースは止めようとはしなかった。 [エースの様子が可笑しい] マルコはエースの様子を見ていて、そう感じた。 普段なら、完全無視を決め込むのに、今回に関して、挑発をし続けるなんてあり得なかった。 [もしかして、エースの奴……] マルコは直感する。 エースは、間違いなく目の前にいる女に惚れた、と。 所謂、一目惚れ、である。 「ここじゃ、迷惑だろ。町外れまで行くぜ?」 「上等だ!!」 男達は、怒りに満ちた表情でエースを睨みつけていた。 [*前へ] [戻る] |