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Wonderful days
方向音痴が真の理由でした
2人の前に来た秀一郎。
内心、ドキドキものである。

「あのね、この人の機嫌が悪い理由知ってる?」
「……えっ」

口を開こうとすれば、国光の鋭い視線に射抜かれ、前を見れば、早く答えろと云わんばかりの眼差しに、秀一郎は迷う。
正直に云えば良いのだろうか。
それとも、嘘を吐けば良いのか。

「正直に云ってくれて良いから、ね?」

にっ、と笑うその顔が、怖い。
隠し通せない、と、判断したのか、秀一郎は正直に話す事にした。



◇◆◇◆◇




話を聞いた奏汰は、声高らかに笑う。
何処か面白い所でもあったのだろうか。
暫く笑った後、

「どっちもどっちだぞ、2人とも」

奏汰は微かに眉根を寄せながら、2人を見た。

「先ずは、ハチミツくんから。幾ら2番目の兄上が云ったからと云って、説明しないのは間違い。例え、二度手間でも、ちゃんと自分の口で説明しないと。他人から云われるのと、ハチミツくんから云われるのと、どっちが信用出来るの?」
「………」
「次は、小石くん」
「う……」
「他校生であるボクを連れて行きたくない気持ちは判らなくはないよ?でも、今回は合同合宿だよ?反対理由に『他校生だから』と云うのは、ちょっと違うんじゃない?」
「……」

痛い所を突かれた2人。
お互いが感情的になり過ぎて、肝心な物がごっそりと抜け落ちてしまっていた事に気が付いた。

「良く考えてみれば、下らない事だろ?これが笑わずにいられるかい?」

コロコロ、と鈴が転がる様に笑う奏汰に、2人は何処か気まずい。

「後でちゃんと仲直りするんだよ?んでもって、ボクは帰る」
「……校門はどっちだ?」
「あっち」

自信満々に指し示す方を見て、国光は盛大な溜息を吐いた。

「校舎内は関係者以外、立入禁止だ。お前は、校舎に入る気か?」
「ありゃりゃ(?_?)違った?じゃあ、こっち?」
「今度はフェンスを乗り越える気か(--;)方向音痴(コレ)があるから、奏汰を合宿に連れて行くんだ」
「……何となく手塚が連れて行きたい理由が判ったよ(--;)」

その2人の遣り取りに、どうして国光が頑なに奏汰を連れて行くと云ったのか、判った気がした秀一郎だった。

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あきゅろす。
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