Wonderful days 何か、ゴメン 秀一郎と共に、部室にやって来た国光。 何処かしら不機嫌だ。 秀一郎は、固唾を飲む。 「用件は何だ?」 「……彼女の事だ」 「―――…云った筈だが?」 鋭い視線が、秀一郎を射抜く。 国光との付き合いの中で、こんな鋭い視線を受けた事は無い。 国光の警戒心を露わにさせる物は何なのか―――…。 秀一郎は判らなかった。 だが、疑いが芽吹いてしまえば、判らないまま、置いておく事は出来ない。 手遅れでは遅すぎるのだ。 「俺は、彼女を連れて行くのは反対だ」 「………」 「ましてや、幾ら手塚の従妹であっても、彼女は他校生だ」 「…だから、何だ?」 「え?」 国光が閉ざしていた口を開いた。 「なら、逆に問おう。もし、竜崎先生の代わりに臨時の顧問が来た、と、する。その顧問が、元は他校のテニス部顧問だった、と、判ったなら、お前は、反対するのか?」 「それとこれとは、話が違うだろ」 「同じだ。確かに、奏汰は他校生だ。だから、と云って俺達が不利になる様な事はしない」 「どうして、云い切れる?」 「……」 再度、口を開こうとした瞬間、ガチャ、と勢い良くドアが開かれ、2人の視線が注がれる。 すると、そこには、河村隆が立っていた。 「ゴメン、日直で遅れ、た…」 ピリピリ、とした雰囲気の中で、そう告げた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |