Wonderful days 秀一郎の疑問 「二番目の兄上め。今にみてろ。絶対に復讐してやる」 グスッ、と、まだ泣き止まぬ奏汰に対し、 「止めておけ(ーー;)」 奏汰が何を考えているのか判った国光は、背中を優しくあやした。 「う〜……」 反論したいものの、基本的に国光の言葉に逆らえない奏汰は、それ以上云うのを止め、唸るだけに止めたのだった。 そんな2人の様子を見ていた秀一郎は、奏汰と国光の関係に違和感を感じていた。 [一体、何だ?] 従兄妹とは云えど、年頃の男女。 抱き付く、なんて有り得ない。 それに手塚が、抱き付かれても嫌がらない、と云うのが可笑しい。 弱み? 嫌、それぐらいで、拒まない手塚じゃない。 なら、一体何なんだ? 秀一郎の疑問は尽きない。 「手塚」 「………」 胸の中の疑問を解消すべく、国光に話しかける秀一郎。 その様子に何かを感じたのか、スル、と国光から離れる。 「もう良いのか?」 「少し落ち着いた」 「なら良いが……。無理はするな」 「ん、大丈夫」 へにゃ、と、笑う奏汰に若干、不安を抱きながらも、秀一郎を見る。 「ちょっと良いか?」 「…此処で云えない話か?」 「………」 「ボクなら大丈夫だから、行ってきて?」 「しかし……」 奏汰の人見知りの原因を知っているだけに、この場所に一人にして良いのか、躊躇う。 それもその筈。 奏汰はパニック発作がある。 今はその形を潜めているらしいが、発作を起こした時、俺以外、誰の声も奏汰には届かない。 そうなれば、奏汰は何をしでかすか判らない。 その事を考えると、話を聞く、と云う事が出来ない。 「奏汰ちゃんは、ボクが見ておくよ」 「不二…」 「うーたんが居るし、ヒグマくんも居るから、大丈夫だよ」 「……判った。不二、奏汰を頼む。異変が起こったら、呼んでくれ」 「判ったよ」 国光は、奏汰の頭を何度か撫でると、秀一郎と共に、部室へと向かった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |