Wonderful days
お出かけ?
雪斗は、ガタ、と席から立ち上がると、
「副部長君」
ぽん、と秀一郎の肩を叩くと、
「情報漏洩、気にしてる?」
「え……嫌、あの」
「君、判り易いな。けど、それは無いな」
「……」
「国光大好きっ娘の奏汰が、それをすると思うか?」
その質問に答えられない。
「ま、判る時が来るよ」
クスクス、笑いながら、雪斗はガチャリ、と、ドアを開ける。
「スミレちゃん、こっからは大人の時間。行こうか?」
「…何処に行くんだい?」
「兄貴が、スミレちゃんに用があるんだとよ。俺の役目は、奏汰と国光を青学に送り届ける事、合宿参加の許可を取る事、スミレちゃんを連れて来る事の三つ」
それだけを云うと、スタスタ、と歩き出す。
「ったく…、あの我が儘王子め」
雪斗の愚痴をこぼすと、盛大な溜息を吐くスミレと、何処かしら不安を拭えない秀一郎は、部室を後にする。
視界に入るのは、仲睦まじく話をしている奏汰と国光。
そして、練習に励む部員達。
「お話終わったの?」
きょとん、とした表情で、雪斗達を見る。
「奏汰、雪斗はスミレちゃんと出かけて来るから、国光の側に居るんだぞ」
「う?お出かけ?」
コテリ、と、首を傾げる奏汰に、
「だー、可愛いっ!!」
むぎゅ、と、抱き付く雪斗に、
「ぎゃあっ」
奏汰が悲鳴を上げ、手足をワタワタ、と動かす。
「はっ、はっ、ハチミツくーんo(T□T)o」
緩まない雪斗の力に負けた奏汰は、国光に助けを求めた。
すると、国光は小さく溜息を吐くと、
「奏汰を放して下さい。怯えています」
「ちっ」
それだけを告げると、奏汰を解放させる。
すると、むぎゅ、と国光に再び抱き付いた。
「役得かよ(# ̄3 ̄)」
「何の話ですか(ーー;)」
「ふぇえええ(ノД<。)」
半泣きな奏汰をあやしながら、国光は雪斗を見る。
「雪斗、いい加減にしないか(ーー;)」
「おっと、忘れてた」
雪斗は、苦笑いを浮かべると、
「じゃあ、国光。ウサギを頼んだぞ」
「判りました」
雪斗は、ヒラヒラ、と手を振ると、スミレと共に、駐車場へ向かった。
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