:)3
付け過ぎていたピアスは一つも見当たらないし、指にもゴツイ指輪ははめられていない。首元も、くっきりとした鎖骨が見えるだけ。ジャラジャラした物は何もなかった。
「ど?オレの努力はたいしたもんだろっ?」
――俺の昨日の言葉を気にしたのか。
「………。
努力は認めてやる。
でも――」
「でも、なんだよ」
「喋り方がそれじゃあな…」
「喋り方くらいいぃだろォー?!これは直せねぇよ」
――直せないのか…。
「じゃ、駄目だ。諦めな」
「はぁ………。あぁーもうっクソっ!わぁーったよ!ちゃんと喋ればいいんだろ?!」
恢はガシガシと頭を掻いて半ば投げ遣りにそう答えた。
「別に強要はしてない。面倒なことをするのが嫌なら俺に付きまとわなければいいだけだ」
「だから〜、オレはその面倒な事をしてまでアンタと居たいって思ってるんだっつーの!」
「は…?」
――何を言ってるんだ?俺と一緒に居たい…?
「お前、そんな嘘を吐いてまで俺をからかいたいのか」
「ちげェーよ!!そうじゃなくて、だからっ………。
〜〜っ好きなんだよ!!」
予想打にしなかった出来事に、周りの奴らも、ついで俺も口があんぐり。多分少数の生徒は顎が外れたんじゃないかと思う。
「お前…あれだけ人をバカにしたような言葉と態度で接しておきながら好きだってか!?」
「あれはっ!あーしねェと好きな奴が居るかどうか聞き出せねェし、バカみたいにやってたほうが勘ぐられずに済むと思ったからだよ!!
喋り方だってわざとだし、格好だって俺の存在を認識させるためだし。実際はあそこまでバカじゃねェ!!」
一変にして昨日と違うコイツの豹変ぶりに、まだ少し頭がついていかないが、とりあえず告白されて、目の前の奴がなんだか照れてるって事だけは理解できた。
――頭、痛いな…。
「っつー訳だから。返事、聞きたいんだけど」
「あぁ、悪い。えっと…」
――なんて答えよう…。
「あのさぁ…」
「ん?」
「まず友達からにしとこうぜ…?だってまだお前のこと知らねぇし…。返事の仕様がないってゆうか」
昨日までのコイツが意識的に作られたキャラだったなら、それはまだ本質的なコイツの性格を知らないということになる。もちろん、恋人の対象にも入っていなかった。
――全く…面倒臭いやつだな…。
これからきっと俺はコイツのせいで色々巻き込まれて苦労するんだろう。コイツがいたら毎日煩いんだろうな。そう考えると若干、憂鬱な気持ちになったが、ま、一人くらい味方がいてもいいかと楽観的に考えることにした。
「俺の前ではせいぜい優等生してろよ?」
さすがに喋りすぎた為、去りぎわに恢に一言残して早足で歩いた。すると、しばらくしてから「待てよ!オレも行く!」と追い掛けてきたので結局2人で教室に向かった。
「は〜やまっ!愛してんぜ!」
「はいはい」
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