Andante
晩餐3
「早くご飯食べようぜ」
照れくさいのを誤魔化すようにそう言う。
「ああ、じゃあ座れよ。ここにある機械で注文するんだ」
慧がスッと指差したのはカラオケのデンモクみたいな薄いタッチ式のパネルだった。
「すげえハイテクだな!」
「ハイテクって……」
流石金持ち学校、と感動しつつ、思わず同じページをいったりきたり。
メニュー自体もすごいぞ、種類が多いしどれもうまそう。
食堂というかもう一店舗の規模だ。すごい。
「……楽しそーなとこ悪いけど、早く決めろよ?」
一足先に注文を終えた慧は生暖かい目で俺を見ていた。
楽しんでいた分とてつもない恥ずかしさが俺を襲う。
仕方ないじゃん俺DS持ってないんだもん。
周りが皆持ってるスマホすら高校生になったらねとまだ持たせてもらっていない。
こんなパネル使うのカラオケか回転寿司の時くらいなのだ、はしゃいでも仕方ない。……なんて自己弁護してみる。
「……んじゃあラーメンセットとアイスにする。選んで注文押せばいいんだろ?」
「おう」
…………慧がめっちゃニヤニヤしてる。
「なんか文句でもあんのか!?」
「別に〜?
あ、注文押したらそこの溝にカードスキャンして終わりな」
カードを通すと、機械音が鳴りレシート的なものが表示された。
カードスラッシュすんの、なんかかっけー!
「……なんで笑ってんだよ!」
「いやーなんか微笑ましくてなあ」
目が輝いてたぞ、なんて慧はしつこく笑っている。
…………部屋に戻ったらシメてやる。
向かい合う慧を一睨みし、とりあえず届く範囲で慧の足をゲシゲシ蹴ってやった。
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