ギミックボーイ second gimmick * * * * * 俺の脇を、数人の男子生徒が追い抜いて行った。 それを気にしていない風を装って、俺も早足で後を追う。 俺。普段の一人称はそれで正しいんだけど、今この瞬間は変えた方がいいのかもしれない。 言うなれば「アタシ」……なのかな? 何がともあれっ。女装男子、今日も絶好調です! ………………。 ……じゃねえだろおよおお!!!! キモいだろ!!こんな自己紹介するヤツ冗談でも引くだろ!!! ……ダメだ。 やっぱ俺のプライドが許さないぞ、皆の前で吹っ切れるだなんて。 もう誰もいなくなった通学路をトボトボ歩きながら、俺は想像力を羽ばたかせようと必死になっていた。 勿論、女装させられた身で今日を生き抜く術を考えるためである。 ……それに関しちゃ、吹っ切れるっつー選択肢はあり得ないわな。俺が嫌だ。 「とーは言ってもですねぇ……」 俺は信号機に引っかかって立ち止まると、ぽつりと呟いた。 想像力どうこうの問題以前に、実際2パターンしかないんだよな。 それは、登校しないで姉に白旗を挙げるか、吹っ切れない方向で登校するか。 これぞまさに究極の選択ですよね、先輩。 ふと顔を上げると、信号機が青になっていた。 俺はため息をついてからまた歩き出す。 [*前へ][次へ#] [戻る] |