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雪月花


そう。今日は期末テスト初日である。
今は二教科目の世界史を終えた所だ。

「忍?」
と、改めて咲羅が問うて来る。
「………」
俺は依然として虚空を見つめ、答えない。
空はこんなにも快晴だと言うのに、俺の心はハンパなく曇天だ。

「ねぇ?顔色悪いよ?変な汗もかいてる…」

「………」
やはり俺は答えない。
いや、今の俺には咲羅の声も、教室内の喧騒も届いていないのだ。

ただただ考える。

世界史って…あんなに難しかったっけ?と。

ああ。殆ど白紙だよ、この野郎。
笑うな。マジで下手な点数取って単位が取れませんでした、なんてなったらシャレにならないからな。

しかし、記号問題で四問連続で答えが『ア』になるなんて有り得るのだろうか。
他の問題が一切解けなかった分、一番最初の記号問題群に賭けるしかないのだが…

その不安に負け、結局二問目だけ『エ』にしてしまった。
これで四問連続で『ア』だったらどうしよう。
ってか赤点かも知れない。

昨日あんなに勉強した(さらっと教科書を読んだだけ)のに、殆どわからなかった…

一教科目の理科だって結果は言わずもがな。
これは…マジで今回ヤバイんじゃないか?


俺は次の教科である現国の支度に取りかかる事も、友達と今のテストの答え合わせをする事すら忘れ、自分の立たされた現状に、
突き付けられた現実に、
ただただ絶望しているだけだった。

そんな俺の耳に、
「れいんちゅわん、犬神、忍!テストどうだったぁ!?」
テストのせいで無駄にテンションの高くなった神童一の声が飛び込んで来た。
答え合わせでもするつもりなんだろうが、生憎俺は皆に提供出来る答えなんて持ってない。

「犬神なんかはさり気にいつも点数良いからなぁ」
なんて言う神童に咲羅は、
「私は…今回はまぁ出来た方かな。自信はないけど…
ってかさり気にって、いつもちゃんと勉強してるもん」
頬っぺたを膨らませて見せた。

そして、
「れいんちゅわんはどうだった?
この学校に来て初めてのテストだよね?
前の学校と出題形式とか違ったりしてた?」
神童は遂に真打ちに話題を振った。

つい気になり、俺も聞き耳を立ててしまう。

そんな神童を毛嫌うれいんの気になる答えは、

「簡単だった」

――――なんだと!?


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あきゅろす。
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