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〜そして助手は苦笑い〜 26
『どうしよ』も何もあるものか。
雰囲気のみならず、高揚した気分までぶち壊されて、我が輩にどうしろというのだ。
「………」
何も言わずヤコの上から退いてやると、ヤコは慌ててアカネのデスクに向かう。
いつの間にか我が輩が全ての釦を外していた為、片方の肩がはだけ剥き出しの状態のまま、シャツの前を手で握りしめている。ひどくあられもない格好だが、悪くはない。
悪くはないが……もうどうにもならん。
アカネが壁紙から出てきていた。怒ったような異様な動きを見せている。
やはり、聞いていたのか……
「はいっ!お待たせしました!
…どうしたんですか?笹塚さん」
相手は案の定、笹塚刑事だった。
いつかの夜といい、あの男はどうしてこうも……
…いや、もう何を考えても虚しいだけか…
何も考えるまい。悪気はなかろうから……
「…え?昨日の…?」
『そう。いつも弥子ちゃん達に世話になりっぱなしで悪いんだけどさ、状況証拠とか物的証拠とか、漏れなく調書にしるしとかなくちゃなんなくてさ……』
思わず、溜息。
警察の絡む『謎』は、事後処理まで関わらねばならんから厄介だ……
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