main storyT 〜そして助手は苦笑い〜 27 「ネウロ、笹塚さんが…」 電話を切り携帯を閉じつつ、ヤコが申し訳なさそうに我が輩に言う。 申し訳ないと思っているのならば、ヤコもさぞかし惜しいとでも感じているのであろうか? 我が輩は立ち上がり、ヤコに歩み寄った。 「…すぐ下まで来ている。今気付いたがな」 あと1人いるようだ。いつもならばビルの階下に来た時点で気付くのだが、気付けぬ程だったのか…と、改めて思えば何やら可笑しくもあり… 「うん、そうみたい」 「事務所の鍵を開けておけ」 「…いつの間に鍵なんてかけたの? ……あっ!」 会話の合間に、肩に手を置き口付け、首と肩の境目を強く吸い上げてやった。 胸元にもちらほら散っている『跡』よりも鮮やかに残るように… この程度で埋まるようなものではないが、せめてこれくらいはせねば、気がおさまらないではないか。 こころを無理やりに納得させて、我が輩はヤコのシャツの釦を、今度はひとつひとつ留めてゆく。 「…なんてことすんのよ」 ヤコはまた赤くなり、非難めいた口調。だが、おとなしく我が輩のするに任せている。 「見えはしないから構わんだろうに」 「もう!気持ちの問題!」 . [*前P][次P#] |