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〜助手にさざ波を…〜 14
一方的に言葉を連ね続ける我が輩に対し、言葉を発せられぬ匪口が愉快なようで哀れなようで……
「…まぁ、先生には初めてのことのようですから、察して差し上げて下さい。
…助手の僕が、代わりにお詫びします」
ヤコにとってそれが初めての経験であろうことを我が輩が示唆すると、匪口は明らかな動揺の色を示す。
それではこの男も…吾代のように、我々がそのような関係であると思っていたとでもいうのか……
滑稽としか思えぬ。
匪口も…
そして我が輩も……
「それにしても、僕は驚きましたよ。
先生は、周知の通り、あのような幼児体型、精神まで相応に幼稚でいらっしゃる。
…その先生が、匪口刑事のような方に、あのように想って頂けるとは」
極力愉しげに言ってやれば、匪口は今度は、疑念を抱くような表情となる。
混乱もしているのか?
…この男には、我が輩のヤコへの感情は、どう見えていたのやら…
我が輩は、ヤコの落としたものを拾う。
2つにもなるそれを眺めていると、ふと、以前あった、同じような出来事を思い出す。
……状況はあのときと酷似しているのであったな……
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