[携帯モード] [URL送信]

main storyT
〜助手にさざ波を…〜 06

 何を考えていたのか、唐突に匪口が問う。

 …それでなくとも、この会話や『声』は、支離滅裂なのだ…

『桂木は…
 あのネウロの正体、いつから知ってんの?』

 奇妙な質問。

『ネウロは、出逢ったはじめから、化け物だって、私知ってたよ』

 ヤコは答える。


 そうだな…

 ……そうであった…な……



 我が輩は思い出す。

 我が輩が、出逢ったはじめから、取り繕わぬありのままの我が輩であったのは、ヤコただひとりであったことを……



『…知ってて、一緒にいられるのは桂木?…何で?』

 心なしか口惜しそうな表情の匪口は更に問う。


 我が輩は匪口の、ヤコへの感情を知っているつもりだ。
 故に、このような問いかけをする意図は解らなくもないが、ヤコが気持ちに気付いていない以上…この問いは無意味で、匪口にとって残酷な結果にしかならないであろうに……


 ヤコは『声』でまたも雄弁となる。


 聞いたこともない、ヤコの本音が、また聴こえる…



 ……ヤコよ……


『化け物も魔人もないよ。アイツがアイツだから、あたしは一緒にいられる』


 ……貴様は我が輩が思う以上に残酷な……




.

[*前P][次P#]

あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!