main storyT 〜助手にさざ波を…〜 06 何を考えていたのか、唐突に匪口が問う。 …それでなくとも、この会話や『声』は、支離滅裂なのだ… 『桂木は… あのネウロの正体、いつから知ってんの?』 奇妙な質問。 『ネウロは、出逢ったはじめから、化け物だって、私知ってたよ』 ヤコは答える。 そうだな… ……そうであった…な…… 我が輩は思い出す。 我が輩が、出逢ったはじめから、取り繕わぬありのままの我が輩であったのは、ヤコただひとりであったことを…… 『…知ってて、一緒にいられるのは桂木?…何で?』 心なしか口惜しそうな表情の匪口は更に問う。 我が輩は匪口の、ヤコへの感情を知っているつもりだ。 故に、このような問いかけをする意図は解らなくもないが、ヤコが気持ちに気付いていない以上…この問いは無意味で、匪口にとって残酷な結果にしかならないであろうに…… ヤコは『声』でまたも雄弁となる。 聞いたこともない、ヤコの本音が、また聴こえる… ……ヤコよ…… 『化け物も魔人もないよ。アイツがアイツだから、あたしは一緒にいられる』 ……貴様は我が輩が思う以上に残酷な…… . [*前P][次P#] |