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〜以上…未満〜 08

「…あんた、わかっててやったんでしょ」

 依頼人の元へ赴く道中。
 弥子は機会を捉え、ネウロに追及をはじめた。

「何の話だ?」
 ネウロは前を向いたまま問い返す。

「だから!さっきの話よ!あんた、笹塚さんから着信あったのわかってて、履歴全部消したんででしょ…!!」
 結構な勢いで弥子は詰め寄るが、ネウロはどこ吹く風といった表情。
「我が輩は知らん。貴様が寝呆けて消したのではないか?」
 しれっと言い放たれたネウロの言葉に、弥子は奇妙に粘着質な声音で返す。

「…ふぅんん…
 そんならさー、あの日のあたしのケータイの未読受信メールが、けっこー凄いことになってたのって、ネウロ、あんたどー説明するの?」
「………」
 魔人は口惜しくも、言葉に詰まってしまう。




 あの時は着信履歴を優先し、履歴を消去し未読メールに着手しようとした矢先に、弥子が部屋に戻ってきたのだった。
 それきり、迂闊にもメールの件は失念していた魔人は、非常に珍しい苦い表情を浮かべている。
 弥子は何とはなしに嬉しくなり、追求を続ける。


「…あの時、あんたあたしのケータイいじってたもんね。
 言い逃れも誤魔化しも、もーダメだからね。
 さっきあたしがどんなイヤな汗かいたか、あんたもたまには思い知りなさいっ!!」

「チッ…」
 ネウロは舌打ちし、再び弥子の頭を掴み、ぐい、と力強く引き寄せた。







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