main storyT 〜以上…未満〜 07 ―…だけどな、助手……― 随分遠くになりながらも、決して見紛うことのない青いスーツの長身の男に、笹塚は密かに心中で語りかける…… ―アンタが弥子ちゃんを大事にしてんのは認めてやるし、そんなら俺は何にも言わねーよ。 だけどな…… もしも弥子ちゃんを泣かしたり…あん時みたく、実際はそーじゃなさそうだってトコを、俺がもう一度見ちまって、俺がそー判断しちまった時には……― 「…そしたらもう、俺はアンタを許さないし、どんな手を使っても、アンタから弥子ちゃんを引き離してやるよ…」 自然と口から零れた、布告。 聞こえはしないとわかりつつも、声にせずにはいられなかった…… 最早見えなくなった2人に背を向け、空いた両手をポケットに入れ、笹塚は歩き出す。 笹塚から遠く歩き離れてゆくネウロは、ちらりと後ろを見やった。 「…? どしたのネウロ?…新しい謎の気配?」 弥子も振り返る。勿論、これといったものは、何もありはしないが…… 「…フン…」 「……?」 ―ヤコを死んだ肉親に重ねあわせようと、そうでなかろうと、想うのは勝手であろうがな… 結果の判りきっていることに踏み込まぬだけ、奴は賢いということだな……― ふ…と、魔人は笑った…… [*前P][次P#] |