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32℃の絶対評価(兵伝)


※現パロ、高校生


気温32℃の教室。こんなにも暑い部屋の気温を下げる機械は古ぼけた扇風機のみだ。いや、下げる機械では語弊が生じる。生暖かい空気をかき回し、逆に温度を上げている機械だ。


しかしこの室温をもっと上げているものがある。

それはあのバカ達だ。

あいつらが学校に何しに来ているのかは分からないが、次の時間にテストがあること忘れているのは確かだ。
下品に口を開けて笑い転げ、こいつらをバカと言わなかったらバカとはどのような者を指すのか対象を当てはめるのに小一時間かかりそうだ。故に正真正銘のバカだ。
お前らみたいなバカが騒ぐから地球温暖化などになるんだ、と常々思う。ああ、あつい。



「なにしてんの」

「…次のテストの勉強に決まってるだろ」

「うっそ」

「うそって何だよ、お前やる気あんのかよ」

「やる気ねえ…たかが小テストに?」

「っるさい!あっちいけ!」

これだからバカと話すのは疲れる。何故正しいことをしているはずの僕が神経を煩わされなきゃいけないのだ。バカの考えることは本当に理解不能だ。

ふと笹山は何を思ったか、なるほどなるほどと一人で納得し僕の前の席に腰かけた。僕の机で頬杖をつき、ずいと顔を近づけられた。笹山との距離はほんの数十センチになった。



「ねえ、伝七。お前さあ、点数で評価されないと怖いんでしょ」

「…は?」

「お前は自分に自信がない。だからさ、点数で評価されないと安心できないんだ。人がつけた評価なんて何にもならないのに」

「お前は人の評価を少し気にしたらどうだ。周りの奴らがお前のことを何と言って

「人の評価なんて信憑性のないものさ。僕はそんなの気にならない。」

「…何が言いたい」

笹山の言葉が怖い。お前に僕の何がわかるっていうんだ。お前の言葉こそ信憑性のかけらもないと分かっているのに

それなのに、何でも見透かしてるようなその眼は僕を捕らえて離さない。耳が、体が、全ての細胞が自由を奪われたようだ。


「人に評価されようと必死に点数稼いでバカみたいだなあ、と思ってさ」



雑音が消え、僕の回りだけ時間が止まったように感じた。
言い返したいのに言葉が詰まって喉からはかすれた音しかでない。

認めたくない。認めたくない。が、


おそらく図星だったのだ。

僕は誰かに評価され必要とされないとヒレをなくした魚のように泳ぐことが出来ない。こんな僕を誰が必要としているんだ。僕なんか―



「バカで…悪かったな…」


零れそうな涙を呑み込んだ。そして絞りだすようにひとつ言葉を発した。世界に映る僕はひどく惨めな顔をしている、そんな気がした。







「ほんとバカ」



笹山が大きく態とらしいため息をついた。自分で自分をバカと言ったものの、やはりこいつにしみじみ言われると腹がたつ。

「伝七は真面目すぎ。ねえ、誰がお前を嫌ってる?嫌う理由なんてある?」


アホの言うことは抽象的すぎて理解がし難い。



「もがきながら生きてるお前を笑う奴がいるなら連れてきなよ。僕が―」





ぶっ殺してあげるから






アホの思考回路は分からない。しかし、自分が悩んでいたのがバカらしくなったのは事実だ。教科書を閉じて、外を見やれば、今日も眩しいほどの太陽が世界をあざ笑っていた。







32℃の絶対評価





0808振り回されちゃえ!




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あきゅろす。
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