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面倒な奴


※現パロ
鉢久々だけど兵助はでない

「三郎、携帯ブーブーいってるよ」
「ん、ああサンキュ」
携帯なんて興味はないし、メールとか面倒くさい。メールで「今なにしてる」とかやりとりするカップルにうんざりする。携帯なんてなくなってしまえばいい。俺には不必要なものだ。

…と思えたらどんなに楽だろう。


「…メアド変えました」
こいつは一体誰なんだ、名前だけでは相手の顔が判断できない。そのまま、アドレスを登録することなく携帯を投げ捨て、さきほどまで読んでいた書物に目を移す。

「残念、兵助じゃなくて」
「雷蔵…やめて…寂しくなる」
「お前からメールすればいいじゃない」
「いや、いいんだ。別に、」

なんでいつも俺からメールをしなければならないんだ。俺達付き合っているんだろ、何なんだ、あいつは、付き合い始めは態度も可愛いらしかった。
ちょっと目を合わせるとすぐキスをせがんできて、キスすると、すぐに赤くなって幸せそうな顔した。

そして俺がもっと奥まで舌を入れて、苦しそうにするからやめてやると、
「もっと」

と欲望を現れにしたもんだ。
「…やっぱ2ヶ月も付き合ってんのに体の関係がないのがいけないのかな」
「三郎、本よみな」

ねえ、雷蔵冷たい…俺本当に悩んでるんだけど…


付き合う前は気にならなかったところが気になりだして、
どうせあいつは俺のことバカとか思ってんだろ、とか冷血だとかがり勉バカとか、メールくらいしろバーカとか
そんな兵助の悪いとこばっかり考えてしまう。

「俺は兵助のことが好きなのかな」
「何、そんなに思いつめてるの?」
「キスももう10日してない」
「へえ」
「そしてあと5日できない。次の日曜まで会う予定ないから」
「ねえ、お前すごい女々しいんだけど」
「雷蔵さん…俺意外と繊細な心持ってんだけど。ガラスのハートなんだけど。」

…やっぱり俺は兵助が好きで、こんなに好きなのになんで兵助は同じ分だけ返してくれないのだろう。なんで世界は不平等なんだ。


さっきから読んでるはずの書物はまったくページが進んでいないことに気づいた。これを今日中に読んで、レポートを仕上げなければいけない。

どうすんだよ、今日提出できなかったら。

「三郎、お前たち付き合ってるんだから、仮にも。だからメールでもちゃっちゃっとして早く本読めよ。」
「…あ、はい…」

こわいんだ。

しつこくして面倒な奴と思われるのが、あいつは淡白な奴だから。

こわいんだ。

なにより嫌われるのが。

あいつは俺がいなくても世界を回すことができるけど、俺はあいつがいなきゃ世界をうまく回せない。

あいつは俺がいなくても、世界は普通に映るけど、俺はあいつがいなきゃ世界が白黒だ。

俺ばっかりあいつに触りたい。俺は別に公衆の面前だって触れたいし、抱きしめたい。

キスしていい?が言えなくて、変わりにでるのは

「じゃ、またいつか」

いつかって何時だよ。と自分に問いかけて、自己嫌悪して、


触れたい。触れたい。触れたい。

お前の匂い、どんなだったっけ?
忘れちゃったよ、俺バカだからさ。


そんな時またどこかで携帯のバイブ音がきこえた。
俺はバカだから、また期待をして、携帯の画面を開くんだ。




そしてまた落ち込むんだろう。



面倒な奴



「あ、ごめん。僕の携帯だった」
「…」

ディスプレイを見ると、そこには『久々知兵助』の文字。


『雷蔵?ねえ、今三郎そこにいる?』

ああ、本当面倒な奴ら



0501
恋ってうまくいかないね


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あきゅろす。
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